2018/8/28(火) 17:04配信 BuzzFeed Japan Medical https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180828-00010006-bfj-soci
受動喫煙対策が大幅に遅れている日本。
日本医療政策機構が20歳以上の男女1000人を対象として実施したアンケートで、約6割が喫煙可能な飲食店の入店を避けると回答していたことがわかった。
加熱式たばこについても、健康影響が気になるとしている人が3分の1以上にのぼる。
成立したばかりの改正健康増進法や東京都の受動喫煙防止条例では飲食店での受動喫煙対策が焦点となった。だが、施行されても、店の広さや従業員の有無によってはたばこが吸える環境が維持され、加熱式たばこは紙巻きたばこより緩い規制になっている。
国民はたばこの煙をどう受け止めているのだろうか。
調査は、2018年6月、調査会社パネルのモニターである全国の20歳以上の男女1000人を対象にインターネット調査の形で行われた。調査票を配布したのは1359人。
まず、この1年で受動喫煙を経験した場所として、路上(61.5%)に続き、飲食店を挙げた人が61%と多かった。
その飲食店が喫煙可能だった場合(分煙を含まない)、「入るのを避けると思う」と答えた人は、58.1%と約6割を占めた。男女別に見ると、女性の63.3%、男性の52.5%が入店を避けると答え、女性の方がよりたばこが自由に吸える店を敬遠する傾向が見られた。
飲食店のように、自分で行くか行かないかを選べない職場や学校でも受動喫煙を経験したことがある人は33.7%いた。職業別に見てみると、建設作業員や工場作業員、タクシー運転手らが分類される「現場職」で53.8%に受動喫煙の経験があった。
分煙であっても飲食店の入店を避けると答えた人は25.1%いた。分煙では受動喫煙を防げないことは医学的な常識となっている。
喫煙経験による内訳を見てみると、喫煙可能な店を避ける人の8.1%が喫煙者、21.7%が過去に喫煙経験のある人で、たばこに馴染みのある人の中にも自由に喫煙できる店は避けている人が一定数いる実態がわかった。
また分煙の店を避ける人の13.5%は喫煙者だった。分煙の店は、非喫煙者はもちろん、喫煙者にとっても居心地が悪いのだろうか。
国の改正健康増進法や東京都の受動喫煙防止条例では、加熱式たばこは専用の喫煙室を設ければ喫煙でき、そこで飲食も可能となる。健康への影響がわかっていないのに、喫煙室では飲食できない(従業員が中に入ってサービスをする必要がない)紙巻きたばこより緩い規制となっている。
この加熱式たばこによる受動喫煙の健康への影響が気になる人は35.8%となり、気にならない(27.3%)を上回った。不安を残したまま加熱式たばこに晒されている状況が見てとれる。「わからない」と答えた人も36.9%いた。
また、加熱式たばこを利用している人にその理由を尋ねたところ、「自分の健康への影響が紙巻たばこより小さいと感じるから」とした人が49.4%、次いで「紙巻たばこと比べて、匂いが自分の髪や衣服などにつきにくいと感じるから」が37.7%と、自分のために切り替えている人が目立った。
同じ質問で「周囲の健康への影響が紙巻たばこより小さい」(35.1%)や「匂いによって迷惑をかける程度が小さい」(27.3%)など、周囲への影響を考えている人の方が少なかった。
東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、2020年4月までに段階的に施行されていく国や都の受動喫煙対策。調査結果からは、早くも国民の健康への願いとのズレが出始めていることがうかがえる。
岩永直子