http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161116-00000001-cbn-soci
受動喫煙対策の強化について検討する厚生労働省などの課長級の作業部会は16日、対策のたたき台に関する関係団体の公開ヒアリングを行った。病院など医療機関の敷地内を全面禁煙とし、違反者に罰則を設けるたたき台の方向性に、日本医師会(日医)、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会(日看協)の4団体の代表者はいずれも賛意を示した。
政府は東京五輪・パラリンピックを開催する2020年に向け、受動喫煙の対策を強化する方向で検討を進めている。
厚労省のたたき台は、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が共同で「たばこのないオリンピック」を推進し、近年の開催地や開催予定地で罰則を伴う対策が講じられているといった状況を踏まえたものだ。
具体的には、英国と韓国の制度を併せた「混合型」の制度を導入し、官公庁や社会福祉施設などは「建物内禁煙」、医療機関などはより厳しい「敷地内禁煙」と規定。両国とも医療機関は「建物内禁煙」だが、主に利用するのが患者らで、健康への影響を防ぐ必要性が高いとして、より厳しく定めている。
また、対策の実効性を担保するため、禁止場所で喫煙しない義務を施設利用者に課すほか、施設管理者に対し、禁止場所での喫煙を制止する努力義務などを設ける。義務違反を繰り返す場合は罰則を適用する。
16日にヒアリングを受けた4団体の代表者は、受動喫煙が健康に及ぼす影響を指摘し、対策を強化すべきだと主張。医療機関の敷地内を禁煙にする同省のたたき台に賛成した。
さらに日医の今村聡副会長は、飲食店などに喫煙室の設置も認めないルールにするよう要望。日看協の中板育美常任理事も、若年で喫煙を始めた人は喫煙中止の成功率が低いといったデータを紹介し、▽大学の敷地内禁煙▽学生のアルバイト先となる飲食店などへの喫煙室の設置禁止-など、たたき台より厳しい対策を講じるよう求めた。
公開ヒアリングはこの日が2回目。先月のヒアリングには、四病院団体協議会や日本ホスピス緩和ケア協会の代表者が出席し、それぞれ医療機関の敷地内禁煙に慎重な姿勢を表明。一部の病棟で喫煙所の設置を認めるよう要望していた。
作業部会は今後、たたき台への関係団体の意見を踏まえて具体策の案をまとめ、内閣官房や財務省、厚労省などの局長級の検討チームに示す。