カナダ政府、電子たばこメーカーに成分情報の開示義務付けへ

2022年06月22日  Jetro  https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/06/53090a1656e1d0dc.html

カナダ保健省は6月17日、電子たばこのメーカーに対し、販売状況や成分に関する情報を同省に報告することを義務付ける新規則を今後制定することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。6月18日から45日後の8月2日までパブリックコメントを募集している。

6月18日付官報で公表した同規則案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、製造業者は電子たばこのカートリッジの設計仕様や素材、リキッドと呼ばれる液体のニコチン濃度や含有成分などについて各製品の導入時のほか、その後は毎年報告することを義務付ける。また、研究開発や販促活動に関する情報は年1回、各製品の売り上げデータは四半期ごとの報告を義務付ける。

保健省によると、電子たばこメーカーは製品の含有物に関するデータを公表しておらず、また、外部機関からの関連データの入手も困難だという。電子たばこの人気が高まり、市場が拡大する中、市場の変化や成分を正確に把握するため、メーカーへの情報開示義務付けに踏み切った。

保健省によると、同規制案は電子たばこ製品に関する報告義務付け導入の段階的アプローチの最初のステップで、今後、紙巻きたばこ製品同様の報告要件を追加することを検討しているという。また、業界の透明性向上のために、収集した情報の一部を公開する可能性もあるという。

政府が情報開示義務付けに動いた背景としては、国内で特に若年層の電子たばこ喫煙率の増加傾向に対する強い懸念がある。政府が今回の発表で引用しているデータとして、2018~2019年のグレード7~12(通常12~17歳。ケベック州ではセカンダリー1~5に相当)の喫煙率が2016~2017年と比較して倍増したとの調査結果がある。また、カナダ政府統計局が2022年1月に公表した調査結果によると、2020年時点の紙巻きたばこ常習喫煙者は約10%となり、1980年初頭の約40%、20世紀末の約25%と比較して喫煙人口は減少している。年代別では、25歳以上の喫煙率は11%に対し、15~19歳は3%にとどまっている。一方、電子たばこについては、過去30日間に喫煙した割合は15〜19歳では14%で、25歳以上(3%)の5倍近くに達するなど、若年層の電子たばこ喫煙率の高さが目立っている。

カナダ政府は、上記以外にも健康への影響や医療費削減の観点から、たばこの普及率を引き下げる取り組みを加速化させている。保健省は6月10日、全てのたばこ製品に関し、健康警告を表裏パッケージの75%以上の面積に表示するほか、パッケージを手にする者以外の目にもとまるよう、紙巻きたばこの1本1本に健康警告を印刷することを義務付ける規制案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。8月25日までパブリックコメントを募集している。たばこ1本1本への表示義務付けは、実際に導入された場合、世界初となる。保健省は、約13%のたばこ普及率を2035年までに5%未満に低下させることを目標としている。