米・喫煙年齢制限を21歳へ引き上げ目指す

2018年01月26日 06:10  Medical Tribune  https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0126512662/

 

 日本では法律により喫煙、飲酒ともに20歳以上と定められているが、米国では飲酒は21歳以上、喫煙は18歳以上としている州が多い。米・University of Texas(UT)MD Anderson Cancer CenterとUT Health San Antonioは1月11日、テキサス州サンアントニオ市議会による「喫煙の年齢制限を18歳から21歳に引き上げる法律」の採択に向けた動きを支持すると発表した。

喫煙の影響で年間約48万人が死亡

 喫煙年齢制限を引き上げる法律案の提出は、テキサス州内ではサンアントニオ市が初めてであり、次世代の健康を守り、州全体の喫煙による保健上の負荷を減らす上でも重要と考えられる。MD Anderson Cancer Centerセンター長のPeter W.T. Pisters氏は「この取り組みは、子供の健康と米国内で主要な死因となる喫煙の防止につながる重要なステップとなるであろう。さらに重要なのは、この取り組みが子供たちにとって、生涯にわたって有害な行為となるたばこ製品への依存を防ぐことである」と述べている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国では喫煙の影響により年間約48万人の生命が奪われている。テキサス州単独では喫煙に関連して年間約2万8,000人が死亡しており、直接的な医療費は88億ドル以上、さらに生産性の損失が82億ドルに上る。

 喫煙者の約95%は21歳以前に喫煙を開始している。最近の研究では、試しに喫煙した人のうち3分の2以上が日常的な喫煙者になることが示唆されている(Nicotine Tob Res 2017年11月4日オンライン版)。米国では、1日当たり約2,300人の18歳未満の青少年が初めての喫煙を経験しており、そのうち350人が毎日喫煙するようになる。テキサス州では毎日喫煙する青少年が年間1万2,300人増加している。

5州は既に喫煙年齢に引き上げ済み

 UT Health San Antonio Cancer Centerセンター長のAmelie G. Ramirez氏は「われわれは全ての人における健康増進の探求に取り組んでいる。全米の取り組みである"Tobacco 21"イニシアチブは、喫煙やニコチン依存症による不要な疾患や死亡をなくす、または低減することを目指しており、われわれの方針とも完全に一致する」と述べている。

 米国医学アカデミー〔2015年に米国医学研究所(IOM)から改称〕によると、全米で喫煙可能年齢を21歳に引き上げることにより、早期に喫煙を開始する若年者(思春期〜若年成人期)が減って喫煙に関連する死亡も減少し、この世代の健康増進に直結するという。

 米国の5つの州では既に喫煙年齢制限を引き上げる法律が制定されており、その他にもニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイスなどの主要都市を含む280以上の都市と郡(18州)でも喫煙年齢制限が引き上げられている。