受動喫煙防止で賛否 主要団体の意見出そろう

朝日 2016年11月16日23時52分
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 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、政府が検討している罰則付きの受動喫煙防止策について、屋内禁煙などの対象となる主な業界団体の意見が16日、出そろった。対策の重要性をほとんどの団体が認めながら、それぞれの業界での話となると、反対や慎重姿勢が相次いだ。来年の通常国会への法案提出をめざし、政府・与党内の調整が今後進められるが、難航する可能性もある。

 「商売が成り立たなくなる。なぜ五輪に向けて地方の小さな店を潰すような規制を国が行うのか」

 16日、都内であった業界団体からの意見聞き取り。中小の飲食店でつくる全国飲食業生活衛生同業組合連合会の担当者が訴えた。

 海外では病院や飲食店など公共の場を屋内全面禁煙とする法律を施行する国が約50カ国あるが、日本は2003年施行の健康増進法で施設管理者に対策を課すが努力義務にとどまり、世界保健機関は「世界最低レベル」と指摘。日本を除く近年の五輪開催地・開催予定地は罰則付きの法整備を講じている。このため、厚生労働省が対策強化へ法整備の「たたき台」を10月に公表、飲食店などサービス業は喫煙室を設置できる「原則建物内禁煙」とした。

 しかし、この日も含め2回の聞き取りでは、「喫煙しながら遊びたいという意見が大勢」(日本遊技関連事業協会)、「客離れの懸念がある」(日本フードサービス協会)、「(店が狭く)喫煙室の設置が難しい。店の存続にかかわる」(全国麻雀業組合総連合会)などとサービス業を中心に反対が続出。経団連日本商工会議所も経済や経営への悪影響を懸念する意見を表明した。

 ただ、厚労省の「たばこ白書」によると、海外の複数の報告を解析した結果、サービス業全般やレストラン・バーで「全面禁煙化によるマイナスの経済影響は認められていない」という。国内でも、全国223店を展開するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」が13年に喫煙所を除き、全店で全席禁煙を達成したが、「売り上げは約3カ月で復調し始めた店舗が多い」(広報)という。

 逆に、全国焼肉協会は「喫煙室の有無で来客に影響すると不公平」として、より厳しい「建物内禁煙」を求めた。

 対策を賛成・容認したのは、消費者団体とビジネスホテル業界など。全国消費者団体連絡会の担当者は「事業者がコストや経営への懸念を理由に、喫煙者の権利のみにたった発言をされて残念」と話した。

 最も厳しい「敷地内禁煙」とされた病院関連では、病院団体の「四病院団体協議会」は、「医療機関だけ敷地内禁煙は違和感がある」と長期療養の患者ら向けの例外的な屋外の喫煙所設置を求めた。一方、日本看護協会は、禁煙を掲げる病院でも完全には守られていないと指摘、「自助努力では禁煙達成は難しい。法令を整備してほしい」。日本医師会の担当者は「喫煙室では完全な受動喫煙防止は難しい。たばこは単に個人的な嗜好(しこう)ではなく、国民全体の医療的な問題だ」と話した。