2017年2月8日 朝日新聞 http://digital.asahi.com/articles/ASK275HHSK27ULBJ00T.html?_requesturl=articles%2FASK275HHSK27ULBJ00T.html&rm=327
2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案の概要が7日、わかった。焦点の飲食店は原則建物内禁煙とするが、延べ床面積が約30平方メートル以下の小規模店で、主に酒を提供するバーなどは例外とする。近く自民党などに示すが、例外範囲をめぐって調整が難航する可能性がある。
飲食店はすべて原則禁煙とした当初の「たたき台」から後退している。海外の主要国と比べると規制が緩く、国内外で批判を受ける恐れがある。
国内の受動喫煙による死者は年間1万5千人と推計される。政府は今国会に提出する健康増進法改正案で、これまで努力義務だった受動喫煙対策について、違反を繰り返す管理者や利用者に罰則として「過料」を科す規定を設ける。
政府案では、飲食店は原則建物内禁煙で、煙が漏れず、飲食ができない「喫煙専用室」の設置は認める。ただし、延べ床面積約30平方メートル以下の小規模店で、主に酒を提供するキャバレーやバーなどは、店頭に注意を喚起する表示や換気などを前提に、喫煙を認める。ラーメン屋やレストラン、すし屋などは未成年の利用が想定されるため、小規模店でも原則禁煙とする。
居酒屋や焼き鳥屋、おでん屋などは除外するかどうか2案を検討中。外国人観光客や子連れの利用客が増えており、たばこの煙に苦情が出ているという。
また、事務所(職場)は原則建物内禁煙だが、一定規模以下は罰則などの適用を一定期間猶予する。医療機関は屋外も禁煙の敷地内禁煙だが、精神科病院や緩和ケア病棟は屋外の一定の場所での喫煙を認めることも検討している。
海外では14年時点で49カ国が飲食店も含めた公共の場を屋内全面禁煙としている。近年の五輪開催地では罰則を伴う受動喫煙防止策を講じている。