2017年2月9日21時54分 朝日 http://digital.asahi.com/articles/ASK295H8BK29ULFA01P.html?rm=449#Continuation
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて政府が検討中の受動喫煙対策を強化する法改正案。海外の主要国と比べると規制が緩い内容だが、9日に自民党が本格的な議論を始めたところ、「五輪のためなら東京だけでやれ」「喫煙の自由を認めろ」などといった反対論が噴出した。政府がめざす3月の法案提出が危ぶまれる事態になっている。
政府案では、飲食店は原則建物内禁煙で、喫煙専用室の設置は認める。延べ床面積約30平方メートル以下のバーなど一部は例外とする。違反を繰り返す管理者らには、罰則(過料)を科す方針だ。当初の「たたき台」では、飲食店はすべて原則禁煙としたが、飲食店業界の支援を受ける議員らの反発を受けて後退した。
9日に開かれた自民党厚生労働部会には、約80人の議員が参加。当初案より後退した内容でも「小規模店への配慮が足りず、廃業だ」「30平方メートルの基準はきつい」などの意見が相次いだ。規制反対の署名活動を念頭に、「次の選挙が危なくなる」という声もあり、全体のうち反対意見が9割を占めたという。
医師資格を持つ議員らを中心に「受動喫煙が健康に悪いことの根拠は明らかで、対策が必要だ」などと政府案を擁護する意見が出ると、反対派がヤジで応酬する場面もあった。
「政府案では党内をまとめられない」(ベテラン議員)と、お手上げ状態。法案を担当する厚生労働省も「法案提出がずれ込めば五輪に間に合わない」(幹部)と、危機感を募らせている。
一方、国会内ではこの日、本会議前に議員が控室に集まると、部屋の隅でたばこをふかす議員がちらほら。こうした現状に自民若手は嘆く。「国会議員が分煙してみせないと、法案をつくっても実効性がない」