2017年4月8日06時26分 朝日 http://digital.asahi.com/articles/ASK475G3DK47ULBJ00Q.html
禁煙か分煙か――。厚生労働省の受動喫煙対策を強化する法改正案をめぐり、与党内から異論がでて法案提出が見通せない中、世界保健機関(WHO)のダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長が7日、塩崎恭久厚労相を訪ね、公共の場での屋内完全禁煙を要請する文書を渡した。
WHOのマーガレット・チャン事務局長による厚労相宛ての文書は、受動喫煙のない東京五輪の実施や、飲食店や事業所を含む公共の場での国レベルでの禁煙を求めている。
文書を受けた塩崎厚労相は「(現在の法改正の)厚労省案を下回らない水準で、対策をとらなければならない」と述べた。
ベッチャー氏は世界保健デーの7日に合わせて来日。東京・新橋の飲食店の視察もし、「分煙では不十分。たばこを吸う場所で食事をするなんてありえない」と話した。禁煙席と喫煙席の間に仕切りがない様子を確認し、全面禁煙の必要性を強調していた。
厚労省によると、受動喫煙による年間の死者は推計約1万5千人。1カ月間に非喫煙者の約4割が、飲食店で受動喫煙に遭っている。日本の規制は、WHOの4段階評価で最低に分類されている。
現状では対策が不十分として厚労省は3月、罰則付きで屋内禁煙を原則、義務化する健康増進法の改正案を発表した。これに反発して自民党の議連は、飲食店は禁煙・分煙・喫煙を自由に選べるとする対案を公表している。