たばこ税、8年ぶり増税へ 主要銘柄はワンコイン超に?

2018年1月27日17時09分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASL1V3VPBL1VULFA00T.html 

 

 2018年度の税制改正では、たばこ税も8年ぶりに増税されることが決まった。

 たばこ税は現在、紙巻きたばこ1本あたり約12・2円。これを18年10月に1円引き上げた後、消費増税が予定される19年10月は据え置き、20年10月と21年10月に1円ずつ引き上げる。1箱(20本)あたりでは、計60円の増税になる。

 では、たばこはどれぐらい値上がりするのか。

 日本たばこ産業(JT)の代表的な銘柄メビウス(旧マイルドセブン)の小売価格は現在、たばこ税消費税込みで440円。メーカー各社は「増税分を価格に転嫁することが基本スタンスだ」(JT)という。ただ、喫煙者が減るなか、収益を確保するために増税幅を超える値上げに踏み切る可能性もある。19年10月の消費増税分も考慮すると、主要な銘柄の価格は500円は超えそうだ。

 また、今回は初めて加熱式たばこも増税する。加熱式は、たばこの葉を加工したスティックやカプセルを専用機器に差し込んで加熱し、蒸気を吸う。健康への悪影響が比較的少ないとされ、近年急速に普及が進んでおり、国内のたばこ市場の15%超を占めるという。

 加熱式の小売価格は主要銘柄で1箱420~460円と、紙巻きとほとんど変わらない。ただ、製品の重量を基準に課税することになっているため、製品ごとにばらつきはあるものの、税額が紙巻きたばこの14~78%と割安だ。このため、加熱式のシェア拡大が続けば、年約2兆円に上るたばこ税収が大きく落ち込む可能性があった。

 そこで、財務省は今回、重量と小売価格をもとに税額を計算する新たな課税方式を導入することを決めた。これにより、18年10月から22年10月まで、5年連続で毎年段階的に増税し、現在の小売価格を前提にすると、紙巻きの7~9割程度の税額になる見込みだ。

 ただ、加熱式の場合、増税分がそのまま価格に転嫁されるとは限らない。

 日本の加熱式たばこ市場では、フィリップ・モリスの「アイコス」が先行。ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」と、JTの「プルーム・テック」が追いかけている。紙巻きたばこの市場が縮小するなか、各社は激しいシェア争いをしており、「紙巻きより値上げ幅は抑えるだろう」「ライバルの動向をにらみながら慎重に検討する」(メーカー関係者)とみられ、価格設定は各社の戦略次第だ。

写真・図版代表的な銘柄の税額(小売り価格が現状維持の場合)