加熱式たばこに異論噴出 受動喫煙法案が衆院厚労委可決

2018年6月16日05時18分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASL6H56YZL6HULBJ00Q.html 

 

 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案は15日の衆院厚生労働委員会で、自民・公明両党などの賛成多数で可決された。19日にも衆院を通過し、参院に送付される見通し。参考人質疑では、規制が緩い加熱式たばこについて「紙巻きたばこと同様の規制にすべきだ」と異論が噴出。調査研究の結果に基づき、加熱式たばこを同様に取り扱うなど、必要な措置を速やかに講ずるとした付帯決議も15日、可決した。

 改正案は、焦点だった飲食店を原則屋内禁煙(喫煙専用室は設置可)とするが、例外的に客席面積100平方メートル以下で個人経営か中小企業の既存店は「喫煙」「分煙」などと表示すれば喫煙を認める。加熱式たばこも規制対象だが、受動喫煙による健康影響が未解明として、加熱式たばこ専用の喫煙室では飲食もできる内容になっている。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は、世界の加熱式たばこの販売量の大半を日本が占めていることを挙げ、「健康被害が実際に出始めてからでは遅い」と指摘。名古屋市立大学病院の大手信之副院長は「食事をすると滞在時間が長くなり、煙が付着したり吸入したりすることもある。健康影響が将来的にわかってから規制を緩めるのは可能だろうが、その逆は難しいのではないか」と話した。

 日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表は「改正案では、飲食店の55%が例外的に喫煙できる状況にあり、受動喫煙をなくせるのか疑問だ。安全性が確立していない加熱式たばこは紙巻きと同様に規制すべきだ」と訴えた。

 

附帯決議 

健康増進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院・厚生労働委員会、2018/6/15

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 既存特定飲食提供施設に係る特例措置については、法施行後できる限り速やかに、当該施設における受動喫煙防止措置の実施状況に関する実態調査等を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。

二 飲食提供施設に係る既存又は新規の区別については、現場の混乱を招くことのないよう、国が指針で判断基準を明確に示すよう、速やかに検討すること。

三 指定たばこについては、WHOでは紙巻きたばこと同様の扱いであることに鑑み、指定たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する調査研究を一層推進し、可能な限り早期に結論を得て、その結果に基づき、紙巻きたばこと同様に取り扱うなど、必要な措置を速やかに講ずること。

四 第一種施設のうち学校等子どもが主に利用する施設については、特定屋外喫煙場所の状況等の実態調査を行い、その結果に基づき、子どもの受動喫煙が生じることのないよう、敷地内完全禁煙の実施の可能性について早期に検討すること。

五 保健所の業務量の増大が見込まれることを踏まえ、保健所の更なる充実・強化に努めるとともに、運用における手続の簡素化、管理権原者が適切に退出命令を発出できるなど受動喫煙防止対策の実効性の確保を図ること。

六 第二次健康日本21で示された成人の喫煙率の目標の確実な達成に向け、喫煙をやめたい人への禁煙支援等のたばこ対策の一層の推進を図ること。

七 喫煙可能な場所・空間において従業員の受動喫煙をできるだけ避けるよう必要な措置を講ずること。

八 FCTC枠組み条約が求めている「喫煙室のない屋内完全禁煙」実現に向け、課題の整理や周知・啓発に取り組むこと。 

 

骨抜きの受動喫煙対策にがん患者が訴え 「死んでいく年間1万5千人の声聞いて」

がん患者団体の代表が反対する中で、改正法案は衆院厚労委員会を通過した。

2018/06/16 08:01 buzzfeed https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/judoukitsuen-kanjanokoe?utm_term=.iyv5pbwPB#.kteZyBDMn 

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