2019年7月2日03時00分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASM713Q96M71UDCB006.html?iref=pc_ss_date
望まない受動喫煙の防止を強化する改正健康増進法が1日から一部施行され、千葉県庁や市役所、警察などの行政機関は「敷地内禁煙」となった。建物内は禁煙。例外的に屋外に喫煙所を設ける場合は、喫煙区域を掲示するなどの措置が必要だ。国より厳しい千葉市受動喫煙防止条例の施行を来春に控え、屋外の喫煙所を設けない動きも出ている。
千葉市では、市役所本庁舎や市立病院、市立学校などが昨年春から、建物内禁煙で、敷地内に屋外の喫煙所も設けない「全面禁煙」を実施済み。1日から、6区役所と保健福祉センターも全面禁煙とした。
中央区役所は5月、中央保健福祉センターが入る官民複合施設「きぼーる」=中央区中央4丁目=に移転。複合施設は、行政機関の部分は「第1種施設」となる。これまでは中央保健福祉センターと区役所の喫煙所はビル11階の中庭で、水を入れた金属製のバケツを置いていた。1日から喫煙所は閉鎖し出入り口のドアは終日施錠とした。
千葉県庁は屋内はすでに禁煙。屋外の喫煙所を1カ所減らし3カ所にして「特定屋外喫煙場所」に。本庁舎と南庁舎の喫煙所はパーテーションで区画し、はみ出して喫煙しないよう足元は黄色と黒の縞(しま)のテープで区切った。本庁舎では周囲の壁に「ここは喫煙所ではありません」と掲示も。ただ、3カ所の喫煙所は千葉市の条例施行もあり「来年3月いっぱいで撤去する予定」(県管財課)だ。
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一方、千葉県警は本部の庁舎内にあった来庁者用1カ所、職員用2カ所の喫煙室を3月いっぱいですべて廃止した。4月からは地下駐車場入り口のスロープ脇に庁舎内で勤務する職員以外の、出口のスロープ脇に職員用の喫煙スペースをそれぞれ設け、「喫煙場所」と掲示。7月からはそこを「特定屋外喫煙場所」として運用している。壁などは設けていないが、今のところ来庁者などから苦情は出ていないという。
職員の中にはヘビースモーカーもいるが、厚生課の担当者は「喫煙室の廃止も含め以前から周知しており、特段大きな混乱などはない。一定の理解は得られている」と話す。来年4月施行の千葉市の条例への対応については「今後、検討していきたい」と話すにとどめた。
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議会棟や裁判所は、飲食店などと同じ「第2種施設」で、改正法が全面施行される来年4月から「原則屋内禁煙」となる。
千葉地裁と千葉家裁は7月1日から、支部と簡裁を含む全ての裁判所の建物と敷地を全面禁煙に。地家裁本庁新館内に3カ所あった喫煙室、地裁本館と家裁本館の建物外にあった喫煙場所もすべて廃止した。地裁総務課によると、来春施行の千葉市の条例に加え「多数の来庁者がある裁判所としても、他の行政機関等と同様に、望まない受動喫煙を防止する責務がある」と判断した。裁判所は多数の来庁者がいることなどを踏まえ、「第1種施設」と同じタイミングで実施したという。掲示や裁判所のウェブサイトなどで「来庁者には丁寧に説明し、理解を求めたい」と話す。
千葉市役所の敷地内にある市議会の議会棟は、市役所本庁舎の全面禁煙に合わせ昨年春から屋内禁煙となっている。
県庁敷地内にある県議会の議会棟内には喫煙室が3カ所。来年春以降は喫煙専用室を設ける場合は、煙が室外へ流出しない構造にする必要がある。議会事務局によると「今後、県議会内で専用喫煙室を設けるかどうかを含め協議してもらうことになる」という。(寺崎省子、多田晃子)
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〈改正健康増進法と千葉市受動喫煙防止条例〉 改正法の施行で1日から敷地内禁煙となったのは「第1種施設」。行政機関のほか、医療機関、助産所、学校、児童福祉施設などが含まれる。建物内に喫煙所を設けることはできず、例外的に屋外に「特定屋外喫煙場所」を設けることができる。だが、喫煙ができる場所の区画をパーテーションで設けたり、喫煙可能な場所だと分かるよう掲示したりして、受動喫煙を防ぐ措置をとる必要がある。飲食店など「第2種施設」を含む全面施行は来年4月。
来年4月施行の千葉市の受動喫煙防止条例は行政機関に対し「庁舎の屋外の場所に、特定屋外喫煙場所を設置しないよう努めなければならない」と努力義務を課している。