新型肺炎、たばこで重症化か 男性の致死率、女性の3倍
新型コロナウイルスによる肺炎は、たばこを吸っている人が重症になりやすい可能性が出ている。中国で死亡した感染者の割合は男性でとくに多く、喫煙率が高いこととの関係が指摘されている。
米フロリダ大や北京大などのチームは、中国で報告された感染者約8900人について分析した論文を公開した。感染者のほぼ半数は50歳以上で、患者のうち亡くなる割合(致死率)は全体で3・1%。ただ、男性だけでみると4・5%で、女性の1・3%の3倍以上にのぼった。
要因ははっきりしないが、その一つとして関連が疑われるのが男性に多い喫煙習慣だ。
2010年の調査によると、中国で喫煙習慣のある男性の割合は54%。女性の2・6%と開きがある。
WHOの緊急対応責任者マイク・ライアン氏は今月14日の会見で、「たばこがあらゆる呼吸器感染症の悪化要因であることは言うまでもない。今回も例外ではないだろう」と述べた。そのうえで、男性で喫煙率が高いために重症化するケースが多くなっている可能性について、「まだ証明されてはいないが、大きな関心がある」とした。
新型コロナウイルスによる肺炎は、心臓病や糖尿病をかかえていると重症になりやすいとされる。これらの病気は、たばこによってもかかりやすくなる。大阪大の朝野(ともの)和典教授(感染制御学)は「たばこが一般的な肺炎による死亡リスクを高めることは広く知られている。新型肺炎の重症化にかかわっていたとしても不思議ではない」と話す。
フロリダ大などの論文は、米イエール大などが運営するサイト(https://doi.org/10.1101/2020.02.10.20021675)で読める。