(経済気象台)政権交代にはまず禁煙を

2020年10月29日 5時00分  朝日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14675596.html?pn=2 

 菅義偉氏が9月16日に第99代の首相に就任した。世評は「秋田の農家出身でたたき上げの苦労人」。組閣直後の朝日新聞の世論調査では内閣支持率が65%と高い水準だった。

 2週間後。日本学術会議が推薦した新会員候補の一部を菅首相が任命しなかったことが10月1日に明らかになる。翌日、官邸で記者に理由を問われると「法に基づいて適切に対応した結果だ」と立ち止まることなく答えた。「安倍政治の継承」とは説明しないということか。残念だ。

 対する野党。149人の国会議員からなる新「立憲民主党」が9月10日に誕生。枝野幸男氏が代表に選出された。12日の民放テレビ番組でジャーナリストの田崎史郎氏が「枝野さんはよどみなくなんでも答えられるが、少し弱みを見せたり、発言をもうちょっと短くされたりすると説得力を増すのではないか」と助言。枝野代表は「もっと笑えとも言われる」と応じた。

 その枝野氏は8月末、禁煙の議員会館執務室で喫煙していたことを認めた。残念だ。

 自民党が政権を奪還して8年。安倍晋三前首相は「民主党政権は悪夢だった」と吹聴したが、一強体制のおごりの象徴「モリカケ桜」も悪夢だ。衆院選は1年以内に行われる。前回2017年の衆院選で年代別投票率の最低は20代の34%。最高だった60代の72%の半分以下。野党が政権交代を実現するには、若者を投票所へ向かわせる魅力が必要になる。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によれば20代の喫煙率は昨年わずか17・6%。若者は今どき愛煙家を首相にしたいと思わないだろう。本気で政権交代をめざすなら、ただちに禁煙すべきだと枝野氏に助言したい。