(新型コロナ)持病の重症化リスク、どれぐらい? 喫煙者など注意、加齢も要因


 2021年1月31日 5時00分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14783630.html

 持病がある人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいとされる。そのためワクチンの接種も自己申告に基づき、入院中や通院中の持病がある人が優先される。果たして持病があると、リスクはどれぐらい高まるのか。…

 厚生労働省の「診療の手引き」は重症化しやすい基礎疾患として、がん▽慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)▽慢性腎臓病▽2型糖尿病▽高血圧▽肥満(BMIが30以上)▽喫煙などを挙げる。米疾病対策センター(CDC)は昨年12月、リストにダウン症を加えた。

 例えば、COPDは重症化リスクが5・7倍になるという報告がある。COPDの原因の90%はたばこだ。国立国際医療研究センター呼吸器内科の放生雅章(まさゆき)診療科長は「当院で亡くなった人は喫煙者が多い。悪い生活習慣で重症化する病気と言える」。

 リスクの高い持病は厚労省が示すものだけなのか。

 たとえば子どもの10%、成人の5%が気管支ぜんそくとされている。新型コロナウイルスは、人ののどや肺の細胞の表面にある「ACE2」という分子を目印に細胞内に侵入する。

 国立成育医療研究センターアレルギー研究室の森田英明室長らの論文などによると、アレルギー性のぜんそくの人の気道の細胞にはACE2が少ないという。「アレルギー性のぜんそくの人が、健康な人より重症化しやすいとは言えない」と話す。

 ただし、米CDCは入院を繰り返すような重いぜんそく患者は重症化するおそれがあるとしている。

 慶応大呼吸器内科の石井誠准教授は、昨年2~6月に入院した345人を分析し、高尿酸血症は重症化のリスクを高めると指摘した。尿酸値が高いと、体の中の炎症を悪化させる可能性があるという。石井さんは「基礎疾患を抑えることで、リスクがどこまで下がるかはわかっていないことが多い。主治医の指示に従い、日常生活で感染防止策を続けることが大切だ」と話す。

 持病の有無だけでなく、加齢も重症化リスクを高める。国立国際医療研究センター総合感染症科の早川佳代子医長は、年を取るとウイルスを抑える免疫力が落ちるのに加え「新型コロナには血管内の炎症や血栓が関わっていると考えられる」と指摘。血管が老化や持病の影響で硬くなることで、重症化リスクを高めている可能性が高いという。

 早川さんは「新型コロナで重症化リスクが高い基礎疾患は、ほかの感染症のリスクとも重なっている。基礎疾患を少しでも改善させておくことは長い目でみれば大事だ」と指摘する。