国会喫煙所「撤去したら」 「密」批判に議員からも求め

2021年2月5日 6時00分  朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASP24647ZP24UTFK01D.html

 新型コロナウイルス感染症をめぐり、衆院本会議場入り口付近にある喫煙所が問題視されている。国会議員らがマスクを外して会話しながらたばこを吸うためだ。新型コロナ対策の「範を示すべきだ」とされる国会議員の「特別扱い」は許されないと、撤去を求める声も出始めた。

 東京都千代田区にある衆院本館。本会議場の入り口近くに透明のボックス型の喫煙所がある。議員や政党職員、記者らがマスクを外して話し込む姿が目に付く。

 1月28日の参院予算委員会では、国民民主党の伊藤孝恵氏が「密の喫煙ボックスは、国会の浮世離れぶりを象徴している」と批判した。衆院側は喫煙時に適切な距離を保つことなどを注意喚起する掲示を喫煙所の入り口でしている、と説明した。

 政府の分科会は感染リスクの高い「五つの場面」の例に喫煙所を挙げている。今月2日の参院内閣委員会では参考人の脇田隆字・国立感染症研究所長が「職場の休憩場所で喫煙して、マスクを外して会話をする場合、感染リスクがある」と述べた。衆院によると、2日、喫煙所には内部にカーテン状の仕切りと、「感染拡大防止のため1人でご利用ください」との貼り紙を設置したという。

 国会の喫煙所は、受動喫煙防止を掲げる改正健康増進法が2020年4月に全面施行された後も、生き残った経緯がある。見学のために一般市民も訪れるが、国会は「原則屋内禁煙(喫煙専用室内でのみ喫煙可)」とされ、中央官庁などの行政機関より規制が緩くなったためだ。政府原案では、国会も行政機関と同じ「屋内禁煙(喫煙専用室設置も不可)」だったが、法案の事前審査などの過程で変更された経緯がある。

 国民の玉木雄一郎代表は4日の記者会見で、喫煙所について「リモートワークや飲食店での会食は控えようと、国民に強いている。我々もできることは全てやらないといけない。撤去したらいい」と訴えた。