禁煙、節酒、運動… 国立施設、健康寿命延ばす提言公表


2021年2月19日 0時00分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASP2L4GHXP2KULZU02V.html

 「たばこは吸わない」「節酒する」「活発な身体活動を」。健康で長生きするための提言を、国立がん研究センター国立循環器病研究センターなど高度専門医療を担う六つの国立の施設がまとめ、19日に公表した。様々な病気にまたがっての予防への提言は国内で初という。

 6施設が実施する住民の健康状態の追跡調査や、国内外の研究・論文をもとに、健康寿命を延ばす科学的根拠が十分と判断した10項目について提言をした。

 喫煙はがんや高血圧、うつ病、認知症のリスクを高める。他人の煙を吸う受動喫煙も、がんや呼吸器の病気のリスクを高める。

 酒を飲むなら節度を心がける。適正量は1日あたり男性は日本酒なら1合(アルコール量23グラム)、女性はその半分までとする。また、飲まない休肝日をもうけることを推奨する。

 食事は多すぎず少なすぎず、バランス良くとることが基本となる。赤肉(牛や豚)や加工肉の多量摂取や、甘味飲料は控える。野菜や果物は適切に、大豆製品は多くとることを推奨する。

 体格については、やせすぎも肥満も、死亡リスクを上げる。やせていると感染症や脳出血、肥満だと循環器病や糖尿病のリスクが高まる。ライフステージに応じて適正な範囲で維持することを目標とし、BMI(体格指数)などの具体的な推奨値は設けなかった。

 身体活動が多いと、がんや循環器病、糖尿病のリスクが下がることがわかっている。目標として、現状より1日10分多く体を動かす▽歩行かそれ以上の強度の活動を1日60分する▽高齢者は強度を問わず1日40分動く――を挙げた。

 提言をまとめた津金昌一郎・国立がん研究センター社会と健康研究センター長は「病気の予防に関する情報があふれるなか、まずこれを守っていただきたいという内容をまとめた。自分ができていないと思う点、できることから実行してほしい」と話す。

 6施設は科学的根拠が不十分な部分の研究をさらに進め、提言を更新していくという。内容はサイトhttps://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0219/index.html)で読める。

健康寿命延伸のための提言

・たばこ 吸わない、他人の煙を避ける

・飲酒 節酒する。飲めない人に強要しない

・食事 食塩は最小限に。1日に男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満。食物繊維や魚を多くとる

・体格 やせすぎない、太りすぎない。適正体重を維持する

・身体活動 活発な身体活動を心がける

・心理社会的要因 ストレスを避ける、社会関係を保つ、睡眠をしっかりとる

・感染症 肝炎ウイルスピロリ菌の検査を受ける。インフルエンザ肺炎球菌を予防

・検診と口腔(こうくう)ケア 適切に検診を受診、口腔内を健康に保つ

・成育歴、育児歴 出産後初期はなるべく母乳を与える

・健康の社会的決定要因 経済状況や幼少期の環境に目を向ける

国立がん研究センターなど6施設による提言から)

 

「喫煙しない」「節度ある飲酒」 健康寿命を延ばすための提言

2021年2月19日 0時25分 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210219/k10012875411000.html

  介護の必要なく健康的に生活できる期間=「健康寿命」を延ばす科学的根拠のある対策や習慣をまとめた提言を国立がん研究センターなど国立の6つの研究センターで作るグループが出しました。「たばこを吸わない」「節度のある飲酒」、「社会関係を保つ」といったことで健康寿命を延ばせるとしています。

 提言ではがんや循環器の病気などに関わるものとして「たばこは吸わない」「節度のある飲酒」「食塩の摂取は最小限に」「多様な食品の摂取を心がける」「やせすぎない、太りすぎない」「日頃から活発な身体活動を心がける」といった対策や習慣が必要だとしています。
 また、うつ病や循環器の病気、糖尿病などに関わるものとして心理社会的ストレスをできるかぎり回避し、孤独を避けて社会関係を保ち、質のよい睡眠をしっかりとるなどとしています。
さらに、感染症について肝炎ウイルスやピロリ菌の検査を受け、感染している場合は適切な医療を受けることや、高齢者ではインフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種することとしています。
 グループのまとめ役をつとめた国立がん研究センター社会と健康研究センターの津金昌一郎センター長は「内容は当たり前のことだが、健康に関する情報があふれかえる中、科学的根拠をもとに今の時点で正しいことを示した。できるところから実践してもらいたい」と話しています。

提言は、国立がん研究センターのウェブサイトで全文見ることができます。