喫煙者はより孤立して孤独になっていく

2022-01-07  biotoday  https://www.biotoday.com/view.cfm?n=98214

英国イングランドを代表する50歳以上の8,780人を12年間追跡したところ喫煙者は齢を重ねるほどに非喫煙者に比べてより社会的に孤立して孤独になっていました。

孤立して孤独な人ほど喫煙することが先立つ試験で示されていますが、今回の試験は喫煙そのものが孤立や孤独を招きうることを示しました。

喫煙は社交の助けになるとの主張を今回の結果は支持していません。むしろその逆で、非喫煙者に比べて喫煙者は家族や友人との交流をより失っていき、近所付き合いや趣味がより乏しくなり、一人で住むことが多くなります。

そのような傾向は年齢、性別、貧困や社会的地位を考慮しても認められました。

推移を追った今回の観察試験では喫煙と孤立や孤独の関連の原因を突き止めることはできていませんが、喫煙で身体が傷むことで出不精になってしまうことがその一因かもしれません。喫煙は息切れ、肺や心臓などの病気を生じやすくし、その結果社交が途絶えがちなる恐れがあります。

または、喫煙で生じ易くなる不安やうつなどの精神の不調が人との関わりを減らしているとも考えられます。

あるいは、喫煙者の友人もまた喫煙者であることが多く、ゆえに早く死んでしまって寂しくなっていくのかもしれません。

社会が喫煙を相容れなくなりつつあること、特には間接喫煙の害を減らすための禁煙の決まりが広がっているなどの環境要因の寄与もありそうです。

今後の試験で喫煙が孤立/孤独を招く原因を調べる必要がありますが、ともあれ喫煙が社交を促すという考えはおよそ正しくないようです。

すでに判明している身体への数々の悪影響に加えて喫煙が気の持ちようや社会生活も害しうることを示唆した今回の試験結果が新年に際して禁煙を誓う人のその一層の動機づけとなることを研究者は望んでいます。

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