日本生命、たばこ関連銘柄を投資対象から除外-日本の大手生損保で初

2023年8月7日 14:00 JST  bloomberg 日本生命、たばこ関連銘柄を投資対象から除外-日本の大手生損保で初 - Bloomberg

日本生命保険は7日、ESG(環境・社会・企業統治)対応強化の一環で、たばこ関連銘柄を投資対象から除外すると発表した。ESGの観点から適当でないと考えられる銘柄を外す「ネガティブ・スクリーニング」の対象を広げる。たばこ関連を投資対象から除外するのは日本の大手生損保で初めて

  同社は2018年、クラスター弾など特定の兵器製造と石炭火力発電の2分野で投融資を行わない方針を表明。今回の措置では、たばこに加えて、核兵器やパーム油関連銘柄、石油・ガスの火力発電事業も投資除外の範囲に含めた。具体的にどの企業を対象とするかは明らかにしていない。

  ネガティブ・スクリーニングを実施している例は国内でも見られるが、たばこ関連企業への投資を禁じるのは珍しい。ブルームバーグが大手生損保各社に確認したところ、同様の取り組みは見られなかった。

  日本生命は発表資料で「健康への影響に鑑みた対応」として一歩踏み込んだ形だが、同社を含めESGを重視する投資家にとって、投資対象をどう線引きするかという難しさは残る。たばこを除外する一方で、例えばアルコールや戦闘機は許容されるのかという疑問も生じる。

  ESG投資では、銘柄選別などの際にさまざまな手法が導入されている。日本では、投資先の株式を持ちつつ対話を続ける「エンゲージメント」が比較的多いが、ネガティブ・スクリーニングは、特に欧州で用いられる傾向が強い。

  グローバル・サステナブル・インベストメント・アライアンス(GSIA)の調べによると、ネガティブ・スクリーニングを用いた投資残高の国・地域別の内訳は、欧州が9兆2420億ドル(約1310兆円)で全体の61%、米国が3兆4040億ドルで23%、日本は1兆2540億ドルで8%だった。

 

日生、核兵器企業を投資対象外に 石油ガス開発、たばこ関連も

2023年8月7日  共同通信 https://www.tokyo-np.co.jp/article/268564

 日本生命保険は7日、核兵器関連企業を投融資の対象から除外する方針を発表した。日生は約75兆円の資産を運用する国内有数の機関投資家。ESG(環境、社会、企業統治)の観点を考慮した運用を進めており、指針を改定した。自社の運用資産による石油・ガスの新規開発事業やたばこ関連企業への投融資も、国内大手生保で初めて禁止した

 核兵器関連は第一生命保険が既に指針に明記している。日生はこれまでクラスター爆弾や生物兵器など非人道的な兵器製造企業を禁止対象としてきたが、核廃絶の国際的な機運の高まりに対応する。

 脱炭素に向けた投融資も強化する。石炭火力発電事業への投融資を禁止してきたが、油田・ガス田の新規開発事業も追加する。既に禁止対象の企業への投融資残高はゼロだという。

 日生は2030年度までにESGに関する投融資を5兆円規模に引き上げる目標を掲げる。今年6月末時点の実績は約2兆1200億円だった。