2025年1月25日 3:34 JST Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-24/SQLLUMDWLU6800
米国のトランプ政権が、メンソールたばこと風味付き葉巻の販売禁止方針を撤回した。メンソールたばこが原因で健康を害する人が何千人もいると主張する公衆衛生擁護派にとっては痛手だ。
メンソールたばこ禁止令の草案は今週、「撤回された」と規制一覧に記載された。24日に報道されると、たばこメーカーの株価は上昇した。米アルトリア・グループはニューヨーク株式市場で一時1.9%上昇。ロンドン市場ではブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が0.4%上昇したが、インペリアル・ブランズはほぼ変わらなかった。
この禁止令は、2024年の大統領選挙期間中に政治的な色彩を帯びた。バイデン前政権は、タバコへの添加を禁止した香料の09年のリストに、メンソールを加える最終規則の発効を遅らせた。このリストでは、メンソール以外の全ての香料が禁止されていた。選挙で重要な層である黒人有権者は、他の人種や民族グループよりもメンソールたばこをより多く吸う傾向にあり、多くのグループが禁止令に反対するロビー活動を行った。
米国食品医薬品局(FDA)の提案は、米国人の健康状態を改善することを目的としているが、個人の購買決定の自由を妨げることにもつながる。禁止令に賛成する向きは、禁止方針の撤回は長年の反たばこ運動の進展に逆行するものだと非難した。
過半数は反対
一方、禁止令反対派は、「行き過ぎた規制」だったとして撤回を称賛し、パブリックコメント期間中にFDAに提出された25万件のコメントの大半がこの措置に反対していたことを指摘した。
全米たばこ販売店協会のデービッド・スプロス代表は、禁止令が小売店にとって重大な金銭的影響をもたらし、大幅な減収と全米規模での雇用喪失につながる可能性があったと語った。
スプロス氏はメンソールたばこ製品などが禁止されていれば、供給の場が「ライセンスを取得し、規制下で責任を負った店舗から、非合法市場へと移行することになっただろう」と述べた。
FDAは、政権移行期間中の健康に関する話題について一般市民とのコミュニケーションを制限するトランプ政権の方針を理由に、今回の撤回に対するコメントを拒否した。「ニューポート」や「キャメル」などの紙巻たばこを製造するレイノルズ・アメリカンの親会社であるブリティッシュ・アメリカン・タバコもコメントを差し控えた。
原題:Menthol Cigarette Ban Proposal Nixed by Trump Administration (2) (抜粋)