自民党参議院議員・小野田紀美氏が指摘した、同党の両院議員総会での受動喫煙。自民党の担当者は「特に区切りなどはしていない」部屋を“分煙”と言い切ります。「基本的には禁煙」という衆議院の建物内で、抜け穴になっている各党の控室。他の党はどのような状況か、取材しました。【BuzzFeed
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“これから両院議員総会ということで、衆議院の部屋に来ています。来ているのですが…忘れてましたけど衆議院は部屋の中でタバコ吸えるのですよ…臭くて煙くてしんどいですが吸っちゃいけない決まりじゃないからなんとも言えない…参議院は喫煙室じゃないとダメなのでカルチャーギャップですね。”(出典:@onoda_kimi)
他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」により、非喫煙者も「肺がん」や「脳卒中」、「虚血性心疾患」などの健康上のリスクがあることが、国内でもさまざまな研究により証明されている。
日本の受動喫煙対策が「世界最低レベル」と世界保健機関(WHO)から警告される中、健康増進法改正案を巡り、反対する自民党と厚生労働省の間で、意見がまとまらなかった経緯がある。
10月24日に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」の議論においては、自民党側は厳格な受動喫煙対策には否定的で、政府は「受動喫煙ゼロ」の目標を事実上、断念したとも報じられている。
そんな中、党内から上がった、他人の煙を吸い込むことへの苦痛を訴える声。自民党はやはり、受動喫煙対策への意識が低いのだろうか。
もちろん、衆議院の建物内で自由に喫煙できるわけではない。BuzzFeed Japan
Medicalが衆議院と参議院それぞれの広報に問い合わせると、両院とも喫煙は基本的に、建物内の喫煙スペースでのみ可能ということだった。
ところが、抜け穴もある。衆議院の広報担当者は「各政党の控室」は例外で、「喫煙可能かどうかは、それぞれの政党の自治に委ねられている」と回答。参議院でも同様だった。
自民党の両院議員総会が11月1日に開催されたのは、まさにこの「各政党の控室」の1つ。最大政党の自民党に割り当てられた、大きな部屋だ。
そこで自民党に取材を申し込んだ。自民党の総務局担当者は「国会の運営に関することなので、ルールはそれぞれの国会対策委員会が決めている」と回答。
自民党の参議院国会対策委員会の広報担当者によれば、参議院については小野田氏の指摘のとおり「基本的に禁煙」だった。
1部屋だけ喫煙可の「5~6人が入れるサイズの、煙を吸い取る機械のある、ボックスのような形状のブースがある」という。
では、衆議院はどうか。自民党の衆議院国会対策委員会の広報担当者は、取材に当初、「両院議員総会が開催されていた部屋は“分煙”されていた」と主張した。
“分煙”なら、なぜ小野田氏が指摘したように、煙が非喫煙者の方に漏れていたのか。その方法について質問すると「特に区切りなどはしていない」「区切りなんかしたら、会議にならないじゃないですか」(同担当者)
区切りなどがないのに、分煙と言えるのか。同担当者は「定義はわからない」として、明確に回答せず、次のように繰り返した。
「喫煙をされる議員の方には、後の方に座っていただくようにしています」「煙が来たという参議院議員の方は、そのことを知らなかったのでは」
衆議院の他の自民党の控室では、部屋ごとに喫煙と禁煙がわかれているそうだ。同担当者によれば「このような形式の“分煙”は、両院議員総会など、特別な機会に限られる」という。
取材は公明党、立憲民主党、希望の党、共産党におこなった。うち、公明党と共産党は担当者がそれぞれ、電話での取材に「両院共に控室は全面禁煙」と明言した。
立憲民主党は電話での取材に、「担当者が戻り次第、回答する」と回答を保留している。希望の党は電話番号やメールアドレスをサイト等に公開していないため、メールフォームで問い合わせ中だ。回答があり次第、記事に追記する。