この世には、色んな意味で肩身の狭い思いをしている人がいる。たとえば派遣社員。たとえばシングルマザー。たとえば学歴が不十分で本来のスペックを発揮できていない社会人。それぞれの背景には、それ相応の哀しい過去があるんだけど、一口に肩身が狭いと言っても「まあ、しょうがないね」で済まされがちな人たちもいる。それが喫煙者だ。
時代の流れかもしれないが、今回は、そんな彼らがますます肩身の狭い境遇になるであろう事例を紹介したい。コンビニ大手のセブンイレブンが、都内店舗から灰皿を撤去する動きを見せている。
思えば喫煙者ほど、ここ20年、30年の間に立場が急激に窮屈になった人たちもいないんじゃないだろうか。昔は歩きタバコも全く問題にならなかったし、電車の中にも灰皿があったし、飲食店では子供がいようとスパスパとタバコを吸うおっさんだらけだった。
しかし、当然ながらタバコは体に悪い。さらに副流煙で周囲の人にも害を及ぼす。そういうことが医学的に証明されて行くにつれ、喫煙者は文字通り、煙たがれる存在となっている。
そしてこの流れは加速する一方のようだ。セブンイレブン・ジャパンは、11月頃から都内のコンビニエンスストア加盟店に向けて、店頭に設置している灰皿の撤去を呼びかけていたという。
撤去は強制ではなく、あくまでもオーナーの判断に委ねられるというが、既に撤去を決定している店舗もあるようだ。そういった店舗においては、12月3日から店内ポスターでの告知を行い、程なく灰皿が撤去される運びになる。
タバコを吸ったことのない僕個人としての意見を書かせてもらうと、こういう取り組みもタバコの価格改定も、「ちょっと喫煙者への風当たりが強過ぎるなぁ」と感じてしまうところはある。でも、これもしょうがないのかもしれない。
タバコを吸う本人が肺がんになって寿命を短くするなんてのは勝手にやっていればいいんだけど、副流煙被害だけは、周囲にいる人たちも防ぎようがない。ガスマスクを常備するわけにもいかないし。
ただ、もう現状で十分過ぎるほどに分煙も徹底されているきらいはある。少なくとも街中では、喫煙スペースに押し込まれて見世物みたいになっている愛煙家の姿に哀愁を感じている。それでもやっぱり、タバコの煙が有害である以上、更に分煙や禁煙を進めるのは必要なことなんだろうなぁ。
そういえば先日、通学路でくわえ煙草をしながら犬の散歩をしているおっさんを見た。このおっさん、犬が自分の吐き出した煙で寿命を縮めていることにも、子供が往来する中でタバコを吸うことにも一切の悪気がないのだろう。こんな無頓着な喫煙者の存在が、分別のある愛煙家を余計に追い詰めているのだとしたら、笑えない話である。