がんによる死亡の半数近くとがん症例の4割にライフスタイルが関係

提供元:HealthDay News  2024/08/07 https://www.carenet.com/news/general/hdn/58993?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2024073100

 がんによる死亡の半数近くとがん症例の4割に、喫煙や運動不足などのライフスタイルが関係していることが、新たな研究で明らかになった。特に喫煙はがんの最大のリスク因子であり、がんによる死亡の約30%、がん発症の約20%は喫煙に起因することが示されたという。米国がん協会(ACS)がん格差研究のシニア・サイエンティフィック・ディレクターを務めるFarhad Islami氏らによるこの研究結果は、「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に7月11日掲載された。

 Islami氏らは、米国における2019年のがんの罹患率とがんによる死亡率に関する全国データとそのリスク因子を分析し、ライフスタイルのリスク因子に起因するがんの症例数と死亡数を推定した。その結果、2019年に30歳以上の米国成人に発生した、メラノーマを除くがん症例の40.0%(178万1,649例中71万3,340例)とがんによる死亡の44.0%(59万5,737例中26万2,120例)は、是正可能なライフスタイルのリスク因子に起因することが示された。

 それらのリスク因子の中でも、がん罹患とがんによる死亡への寄与度が特に高かったのは喫煙であり、あらゆるがん症例の19.3%、がんによる死亡の28.5%は喫煙に起因すると推測された。この結果についてIslami氏は、「米国での喫煙に起因する肺がん死亡者数は、過去数十年の間に喫煙者が大幅に減少したことを考えると憂慮すべき数だ」と懸念を示す。同氏は、「この知見は、各州で包括的なたばこ規制政策を実施して禁煙を促進することの重要性を強調するものでもある。さらに、治療がより効果的になる早期段階で肺がんを見つけるために、肺がん検診の受診者数を増やす努力を強化することも重要だ」と付け加えている。

 そのほかの因子でがん罹患とがんによる死亡への寄与度が高かったのは、過体重(同順で7.6%、7.3%)、飲酒(5.4%、4.1%)、紫外線曝露(4.6%、1.3%)、運動不足(3.1%、2.5%)であった。Islami氏は、「特に、若年層で体重過多と関連するがん種が増加していることを考えると、健康的な体重と食生活を維持するための介入により、米国内のがん罹患者数とがんによる死亡者数を大幅に減少させることができるはずだ」との考えを示している。

 さらに本研究では、がん種によってはライフスタイルの選択によりがんの発症を完全に、もしくは大幅に回避できる可能性があることも判明した。例えば、子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチンの接種により全て回避できる可能性がうかがわれた。論文の上席著者であるACSのサーベイランスおよび健康の公平性に関する科学のシニアバイスプレジデントを務めるAhmedin Jemal氏は、「同様に、肝臓がん予防も、その原因となるB型肝炎ウイルスに対するワクチンの接種が効果的だ。B型肝炎ウイルスは、肝臓がん以外にも肛門性器や口腔咽頭のがんの原因にもなる」と説明する。その上で同氏は、「推奨されている時期にワクチン接種を受けることで、これらのウイルスに関連する慢性感染、ひいてはがんのリスクを大幅に減らすことができる」と付け加えている。

原著論文はこちら


がん発症の40%とがんによる全死亡の44%は予防が可能!-喫煙のがん発症への影響が最も大-

  https://healthy-life21.com/2024/07/24/20240724/

 米国がん協会(ACS)の研究グループが主導した報告。研究成果は、2024年7月11日「A Cancer Journal for Clinicians」に掲載。

 2019年に米国の30歳以上の成人における全体および30種類のがんについて、修正可能な危険因子(喫煙、受動喫煙、過体重、アルコール、赤肉および加工肉、果物や野菜、食物繊維、カルシウム、運動不足、紫外線、感染症など)に起因するがん症例(非黒色腫皮膚がんを除く)と死亡数と割合を推定。

結果

 米国の30歳以上の成人におけるすべてのがん発症の40.0%(1,781,649件中713,340件)およびすべてのがんによる死亡の44.0%(595,737件中262,120件)が評価した修正可能な危険因子に起因。がん発症の修正可能な危険因子別では、喫煙が全症例の19.3%(344,070件)で最も多く、体重過多7.6%(135,910件)、飲酒5.4%(96,730件)、紫外線被曝4.6%(82,710件)、運動不足3.1%(54,570件)他。(上図参照)

 報告は、「今回の結果は、禁煙を代表に修正可能な危険因子への公平なアクセスと予防措置に関する意識を継続的に高める必要があることを示している」とまとめている。

「Proportion and number of cancer cases and deaths attributable to potentially modifiable risk factors in the United States, 2019」」 A Cancer Journal for Clinicians
 https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3322/caac.21858