2023.12.09 Forbes https://forbesjapan.com/articles/detail/67849
いまも成人の4人に1人が喫煙しているフランスで、ビーチや公園での喫煙を禁止する法律が制定される。オレリアン・ルソー保健相は11月28日、国内のビーチ、公園、森林、学校付近での喫煙を禁止する計画を発表した。これにより、年間約7万5000人の死亡が防げるという。
仏AFP通信によると、フランス政府は近い将来、たばこ税を引き上げ、使い捨て型の電子たばこを禁止する予定だ。これは欧米の中では特に喫煙率の高い同国で、喫煙を抑制する試みとなる(BMC公衆衛生の調査によると、2018年時点でフランスの成人の25%が喫煙していた)。
オーストラリア政府も同日、来年1月1日から使い捨て電子たばこの輸入を禁止すると発表した。若年層の間で電子たばこの使用が増加していることについて、同国のマーク・バトラー保健相は「憂慮すべき」事態だと発言していた。同国では、各種電子たばこを一括して違法化する法案が来年提出される予定。
フランスとオーストラリアが今回の動きに踏み出す1カ月前には、英国のリシ・スナク首相が、たばこを合法的に購入できる国民がいなくなるまで、現在18歳である法定喫煙開始年齢を毎年1歳ずつ引き上げるよう提案していた。この法律では、2008年以降に生まれた国民は合法的にたばこ製品を購入することができなくなる。スナク首相はこれにより、英国史上初の「煙のない」世代を生み出そうとしている。香港では盧寵茂保健相が、たばこ輸入税の引き上げや現在18歳とされている法定喫煙開始年齢の引き上げ、ある年以降に生まれた人のたばこの購入禁止、電子たばこや加熱式たばこ製品などの代替喫煙製品の禁止など、14項目の提案について世論を募った。
ニュージーランドは昨年、たばこに含まれるニコチンの量を減らし、認可を受けたたばこ小売店の数を2027年まで徐々に減らしていく法律を可決。2027年には、2009年1月1日以降に生まれた人にたばこ製品を販売することが違法となる。この法律では、全国民がたばこを購入することができなくなるまで、法定喫煙開始年齢が毎年引き上げられる。ところが米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、ニュージーランドの右派新政権は先月下旬、「大規模な闇市場」が生まれることを避けるため、この法律を廃止すると発表した。
世界保健機関(WHO)は、たばこの蔓延を「世界がこれまでに直面した最大の公衆衛生上の脅威の1つ」としている。WHOによれば、毎年800万人以上がたばこにより死亡しており、2020年時点で世界人口の22.3%が何らかのたばこを使用していた。1990年代以降、喫煙率は大幅に減少しており、各国は公共の場での喫煙規制を含め、数十年間にわたってさまざまな禁煙の試みを実施してきた。米ミネソタ州の屋内空気清浄法は、1975年に公共の場での分煙を義務付けた米国初の州法であり、1990年には同国の国内線のすべてのフライトで喫煙が正式に禁止された。アイルランドでは2004年にバーや職場での屋内喫煙が禁止され、ノルウェー、ニュージーランド、ウガンダなど数カ国がこれに続いた。メキシコでは今年、公共の場での喫煙を禁止する世界で最も厳しい禁煙法が制定された。
南アジアの国ブータンは、2010年にたばこ製品の販売、製造、流通を禁止したが、新型コロナウイルスの流行により、たばこの密輸業者による国境を越えた新型ウイルスの感染を防ぐため、2020年にたばこの販売禁止を解除した。他方で、たばこの生産と製造の規制は続けている。
一方、オーストラリアの北東に位置する小さな島国ナウルでは、喫煙者が人口の42.1%を占めている。米誌USニューズ&ワールドレポートによると、ナウルの喫煙率は世界で最も高く、セルビア39%、ブルガリア38%、キリバス37.5%がこれに続く。
(forbes.com
原文)
・2023.11.28 フランス、ビーチや学校周辺での喫煙禁止へ(AFP)