Forbes 2024.08.15 12:30 https://forbesjapan.com/articles/detail/73106
継続的な禁煙は、特に50歳以前に禁煙した場合、多くの「がん」における罹患リスクの低下と関連することが、オープンアクセスの医学誌『JAMA Network Open』に掲載された大規模な集団ベースの研究によって明らかになった。
喫煙は身体のほぼすべての部位におけるがんの原因となり得る。ほんの数例を挙げると肺がん、結腸がん、子宮頸がん、血液がん、腎臓がん、膵臓がんなどが、喫煙と関連している。
喫煙の有害性はがんに留まらない。CDCによると、喫煙は心疾患や脳卒中のリスクを2倍から4倍に高めるという。喫煙とタバコに含まれる毒性物質は、血管の内壁を傷つけ、血管を収縮させ、最終的に高血圧、心疾患、脳卒中を引き起こす。
タバコの有害作用は、1日に1箱を吸うような人に限った話ではない。CDCによると、1日に5本以下の喫煙でも心血管疾患の原因になることがあるという。
タバコは気管にも損傷を与えるため、呼吸困難や多くの肺疾患を引き起こすおそれがある。喫煙が原因となる、または原因となる可能性がある肺疾患には、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息などがある。CDCによると、喫煙者が慢性閉塞性肺疾患で死亡する確率は、非喫煙者の13倍であるという。禁煙はこのような病気の進行を遅らせたり、場合によっては好転させ、生活の質を向上させる。
禁煙によって精神的な健康も改善できる。喫煙の習慣によるニコチン依存症は、タバコをやめようとする人にストレスや不安をもたらす。禁煙することによって、依存症の束縛から解き放たれ、健康全般をよりコントロールすることが可能になり、自尊感情(自己に対して肯定的な評価を抱いている状態)を高めることができる。
喫煙はまた、個人にとっても社会にとって経済的な負担をもたらす。米国ではタバコ1箱の平均価格は8ドル(約1200円)で、いくつかの州では12ドル(約1770円)近くする(日本では500〜600円ほど)。禁煙すれば個人はお金を節約でき、喫煙に関連する病気にともなう医療費も削減できる。
CDCによれば、米国が2018年に被った喫煙によるコストは6000億ドル(約88兆円)を超えるという。その中には、2400億ドル(約35兆円)を超える医療費と、3720億ドル(約55兆円)近い生産性損失が含まれる。現在は米国で2800万人以上の成人が喫煙している。より多くの米国人がこの習慣を断てば、莫大なコストが禁煙によって削減されるだろう。
喫煙をやめることが、より健康的な未来を手に入れるための真の鍵となる。禁煙は、多くのがんに罹るリスクを減らし、心臓血管や気管の健康を回復させ、精神の幸福を高め、さらに銀行口座に益をもたらすことさえあるのだ。
(forbes.com
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