2019/7/9(火) 9:38配信 福島民報 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190709-00000006-fminpo-l07
受動喫煙対策を強化する改正健康増進法は、七月一日に一部施行された。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックは、競技会場の敷地内を完全禁煙とし、近年で最も「たばこの煙のない」大会を目指す。福島市で野球・ソフトボール競技の一部が行われる。会場に加えて、県内全域で幅広い対策を進めるべきだ。
県は本庁舎の敷地裏側に六月末、屋外喫煙所を二カ所設けた。福島市役所本庁舎は二〇一一(平成二十三)年一月から敷地内禁煙としたが、職員の敷地外での喫煙に近隣から苦情が出たため、二年前から西側駐車場に喫煙所を開設している。県と市の担当者は「周囲に迷惑を掛けるわけにはいかない。来庁者への利便性も含め総合的に判断した」などと説明している。
五輪競技開催地として果たして、これで十分だろうか。
同法は、学校や病院、行政機関は敷地内を禁煙とするよう規定する。屋内喫煙所は設けられず、屋外喫煙所は例外的に容認する。二〇二〇(令和二)年四月に全面施行され、事務所や一定規模以上の飲食店内のほか、旅客機やバス、タクシーも原則禁煙となる。
東京都は国より厳しい条例を制定し、来年四月に施行する。他の自治体も制定に向けて動く。改正健康増進法は飲食店や事業所で「抜け道」が多いとされる。各自治体の条例は国の対策を補う役割を担っている。都の条例は従業員のいる飲食店を原則禁煙とする。都内では路上喫煙を規制する条例を定めている品川区や千代田区などもある。
厚生労働省の二〇一六年国民健康・栄養調査によると、本県男性の喫煙率は35・2%で、全国で六番目に高い。県は公共施設(学校を除く)の施設内禁煙率と学校の敷地内禁煙率を二〇二二年度までに100%にする目標を掲げる。昨年五月時点で、公共施設の施設内禁煙率は94・9%、学校の敷地内禁煙率は97・1%だった。県や市町村には、法の趣旨をくみ取って、庁舎などの公共施設も敷地内を対象にするよう求める。
県内では郡山、いわき、会津若松などの各市が敷地内禁煙に踏み切っている。
国内外からの来県者に、「復興五輪」に県を挙げて関わる姿を示すことが大事だ。「禁煙五輪」への取り組みは相乗効果を生み出す。県や福島市が先頭に立ってほしい。
吸える場所をなくしても課題は残る。愛煙家を締め出すだけではなく、やめたい人に対する依存症の外来紹介や治療費補助などの支援拡大を対策の両輪として進める必要がある。