2020/3/29(日) 14:59配信 GDO https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200329-00000002-gdo-life
『健康増進法』の改正に伴い、2020年4月1日から受動喫煙を防ぐための取り組みが厳格化される。今後は原則として屋内禁煙になり、ゴルフ業界においても対策を求められる関連施設は多い。今後はどのような変化が起きるのか、関係各所に聞いた。
まずは同法を所管する厚生労働省に、ゴルフ場や屋外のゴルフ練習場について一般的な適用例を問い合わせたところ、以下のような回答だった。
<ゴルフ場>
・クラブハウスの中は「屋内」のため全面禁煙。ただし、喫煙室を設置できる
・クラブハウスの外は「屋外」のため喫煙可だが、周囲への配慮が求められる
<ゴルフ練習場>
・「屋内」に含まれるので全面禁煙。ただし、喫煙室を設置できる
ゴルフ練習場の多くはボールを打ち出す前面が開放されているものの、「屋根があり、側壁がおおむね半分以上覆っている施設は屋内の扱いになるので、喫煙専用室を設ける必要があります」とのこと。左右の側壁がどれだけ離れていようと例外はない。河川敷にある屋根がないようなゴルフ練習場は、その適用外となる。
また、喫煙室はただ場所を指定すればよいだけではなく、法に定められた煙の流出を防ぐための厳格な条件を満たさなければ使用が認められない。
上述の通り、クラブハウス内の全面禁煙はすべてのゴルフ場で義務化される。一方で、クラブハウスを出た屋外の喫煙については、各ゴルフ場の判断に委ねられることになる。
<PGMとアコーディアの対応>
142コースを保有・運営するパシフィックゴルフマネージメント(PGM)では、屋外の喫煙ポリシーは各エリアの判断に委ねているという。喫煙の可否については同社としての特別な方針を定めておらず、喫煙場所については「クラブハウスの出入り口付近などは避けて、喫煙されない方が不快にならない場所に設置する意識を強めています」(広報担当)としている。
また、133コースを保有・運営するアコーディア・ゴルフも、現時点で屋外の喫煙を規制する動きはない。同社は2008年からクラブハウス内を全面禁煙にするなど積極的に受動喫煙への取り組みを進めてきたが、屋外については改正前と同じスタンスを取り、「(禁煙の)予定はありません。今の状態で法律には適応できているという認識です」(広報担当)との考えを示した。
<屋外を禁煙にするゴルフ場も>
埼玉県東松山市にある高坂カントリークラブでは、4月1日から一部の喫煙所を除き、屋外も禁煙に切り替える。ゴルフ場の担当者は、「組み合わせでプレーされるお客様も多いため、仲間内ではない方の受動喫煙を考えてのことです。未成年のキャディも働いておりますので、これを機に禁煙とさせて頂くことになりました」と話している。
すでに3月からゴルフカートに設置されていた灰皿をすべて撤去し、携帯灰皿の使用も禁止にした。コース内の喫煙は、クラブハウス周りの喫煙所、およびスタートホールとパー3のティーイングエリアに限られる。
27のゴルフ練習場を保有・運営するアコーディア・ゴルフでは、法改正を前に「すべての施設で分煙は完了しています」と同担当。その他のゴルフ練習場もインターネット上などで、4月1日からの全打席禁煙化や、喫煙所の利用を促す告知が目立っている。今後は、打席での休憩中にちょっと一服…といったゴルファーの姿は見られなくなるわけだ。
一方で、これを機に館内を全面禁煙に切り替えるゴルフ練習場もある。千葉県印西市にあるアリスゴルフガーデンでは、これまで館内に喫煙所を設置して分煙を行ってきたが、密閉式ではないことを理由に4月以降の使用を見送り、全面禁煙にすることを決めた。担当者は、「これまでの傾向もありますし、以前から完全に禁煙したいという考えはありました。実際にタバコを吸う方も減ってきていますし、この際なので全面禁煙に決めました」と経緯を説明した。
禁煙と定められた屋内で喫煙すると罰則の対象になり、指導を繰り返し守らない違反者には30万円以下の罰金が科される可能性がある。喫煙室がある施設には、喫煙可であることを知らせる標識の掲示が義務付けられているので確認しておこう。
なお、厚生労働省によると、喫煙の可否について都道府県別に条例を定めている場合があり、国の法律よりも厳しい条件が敷かれている可能性もあるという。