「受動喫煙防止」多治見市条例、期待と不安(岐阜)

2020/3/31(火) 8:07配信 岐阜新聞 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200331-00228355-gifuweb-l21

 昨年9月に岐阜県多治見市が制定した「望まないタバコの被害から市民を守る条例」が、改正健康増進法の全面施行に合わせて4月1日に施行される。受動喫煙防止に関する条例の施行は県内自治体で初めて。原則屋内禁煙を客席面積100平方メートル以下などの既存小規模飲食店の努力義務にするなど踏み込んだ内容で、市は市民への周知や飲食店、事業所への協力依頼に力を入れる。屋内喫煙を認めてきた飲食店の経営者からは客離れを懸念する声も漏れる。

 市の条例は罰則規定はないものの、同法が定める受動喫煙の規制に上乗せする内容を盛り込み、市内全域での歩きたばこの禁止、JR多治見駅周辺での路上喫煙禁止、市立公共施設の敷地内禁煙を義務と位置付けた。努力義務として、飲食店やホテル、事業所といった施設に飲食可能な喫煙室を設置しないよう求めるほか、20歳未満の人がいる周辺も禁煙とする

 市は啓発イベントや広報紙で市民へ周知したほか、今月に入ってJR多治見駅周辺にポスターを掲示した。条例施行後に店舗や事業所に掲示してもらう禁煙ステッカーの申し込みを受け付け、これまでに居酒屋を含めて200件以上の応募が届いているという。市保健センターの髙木裕美所長は「条例により市民の健康増進、健康なまちづくりを進めていく。家族連れが安心して入店できる飲食店が増えるといい」と話す。

 一方、県喫茶飲食生活衛生同業組合理事長で、多治見市内で喫茶店2店舗を営む小島幸彦さんは「たばこを吸いながらコーヒーを楽しむお客さんは条例の施行を残念に思っている」と語る。施行後は1店舗では完全分煙を継続しつつ、全席喫煙だった別の店舗は屋内禁煙とし、屋外に喫煙所を設置することにした。市側が行ってきた飲食店への呼び掛けや相談対応を「よくやってくれている」と評価しつつ、「4月以降の営業への影響が読めない」と心配している。