2019/7/18(木) 11:00配信 北海道新聞 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190718-00010002-doshin-hok
来年1月完成の新しい道議会庁舎への喫煙所設置を巡り、道議会最大会派の自民党・道民会議内で、議員専用ではなく、道職員や来庁者にも利用範囲を広げた喫煙所の整備案が浮上している。庁舎1階や屋外の設置を想定し、「議員特権」批判をかわす狙いがあるが、他の道有施設と違い、喫煙が認められることに変わりはなく、専門家は「問題のすり替え」と指摘する。
「議会の外で、道職員も観光客も吸える喫煙所を設ける方法もある」「議会内に公的な喫煙所を設ければ『議員特権』と言われることもなくなる」。12日の自民会派の役員会で、議員からこんな発言が相次いだ。
改正健康増進法の一部施行で、今月から全国の行政機関は敷地内禁煙となる中、道議会庁舎は「議決機関」だとして除外された。自民会派は現庁舎と同様に新庁舎の控室にも議員のみが吸える喫煙所設置を決めたが、議員特権批判を受け、議員以外も吸える喫煙所に変更する構想が練られた。
役員会では自分たちから今更言えないと、第2会派の民主・道民連合から一般向け喫煙所設置を提案させたい―との意見まで出た。
新庁舎は3、4階の議員控室を除いて詳細設計が終わり、1階には食堂やホール、授乳室が配置される。設計変更の必要があり、道は「間に合うかどうかは、調整しなければ分からない」(総務部議会整備担当)と説明。議会を訪れる一般の道民は会期中の傍聴者などに限られ、喫煙所ができても使用するのは、ほぼ議員と道職員だけとなる。
議会庁舎の屋外は、改正法で原則禁煙となった「第1種施設」である道庁の敷地内に当たる。仮に喫煙所を設置するなら《1》来庁者が通常立ち入らない《2》区画されている―などの要件を満たす「特定屋外喫煙場所」とする必要がある。
道職員が使うプレハブの喫煙所は新庁舎の建設現場にあり、周囲から隔離された特定屋外喫煙場所だが、工事終了後の来年5月に撤去の見通し。新たに別の喫煙所を設けるのは困難だ。
議員以外も利用する喫煙所の設置案に関し、日本禁煙学会評議員で美唄市医師会の井門(いど)明会長(59)は「批判をかわすためで、どうしても吸いたいという意識が透けて見える。受動喫煙被害を出さないため、完全禁煙にすべきだ」と話す。