2019/09/24 11:36 更新 北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/347617
来年1月完成予定の新しい道議会庁舎への喫煙所設置の是非を巡り、世論の反発が強まる中、最大会派自民党・道民会議(53人)の判断に注目が集まっている。同会派幹部はいったん屋内設置が困難との方向を出したものの内部で巻き返しもあり、結論となる選択肢は「議会庁舎内に設置」「敷地内全面禁煙」「屋外に設ける」―の三つが想定される。ただいずれも一長一短があり、議論は混迷を深めそうだ。
自民道議の一部は新庁舎内に喫煙所を設置する案にこだわり、会派幹部の意向や他会派の屋内禁煙の流れにあらがっている。9日の臨時議員総会では、設置派の議員が「完全分煙すれば誰にも迷惑がかからない」「一度設置を決めたはずだ」などと主張した。
設置派の道議は鈴木直道知事が「税金で造るのは難しい」と強調していることを逆手に取り、日本たばこ産業(JT)北海道支社からの寄贈を取り付けている。ただ、電気代や修理代など維持管理費は公費の支出が避けられない。各地の自民党支持者を含む多くの道民から喫煙所設置への批判が出ているほか、全面禁煙を主張する公明党との亀裂も予想される。
一方、「敷地内全面禁煙」は公明党と北海道結志会、共産党の3会派が主張。改正健康増進法の一部施行で、7月から全国の行政機関が敷地内禁煙となり、札幌市議会や秋田県議会なども敷地内全面禁煙としている。自民党に近い北海道医師会の長瀬清会長も「喫煙所の設置は道議会の権威をおとしめる」と強調する。
ただ、敷地内全面禁煙で道庁周辺での喫煙が横行し、近隣の施設に迷惑がかかる―との懸念もある。
そこで、最近、自民会派内で有力視されるのが「議会庁舎内を禁煙にして屋外に喫煙所を設ける」案だ。「観光客や道職員ら誰もが使える喫煙所なら議員特権とも言われず、落としどころになる」(中堅道議)との声もある。
一方で、議会庁舎の周辺は改正健康増進法で原則禁煙となった道庁の敷地。仮に喫煙所を設置するには、来庁者が立ち入らない、区画されている―などの条件を満たす必要がある。道幹部は「道庁本庁舎周辺で隔離された喫煙所を新たに造るのは現実的に難しい」と認め、本庁舎屋上に屋根を設けず、屋外として設置する案も浮上する。
道職員が現在使うプレハブの喫煙所は新しい議会庁舎の建設現場にあり、法に従い周囲から隔離されているが、工事終了後の来年春には撤去される。道職員向けの喫煙所のあり方も同時に議論する必要がある。
自民会派は25日まで所属議員を対象にアンケートを行っているが、配布された用紙には選択肢はなく、無記名式で自由に意見を書き込むのみ。アンケートで自民党がまとまれるかは見通せない。野党道議は「道政課題でない問題で会派内でもめるのは時間の無駄だ」と批判を強めている。