来年撤去の道職員向け喫煙所 屋上新設案が浮上 禁煙派は「優遇」に異論

2019/10/18 02:30  北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/355712


 建設中の道議会新庁舎の駐車場予定地にあり、来年6月の新庁舎利用開始前に撤去される道職員向け喫煙所を新たに道庁本庁舎屋上に設置する案が道庁内で浮上している。廃止すれば、職員が周辺施設の喫煙所に出向いて迷惑をかけかねず、職場を離れる時間も長くなるためだ。道議会自民党・道民会議は新庁舎の会派控室に喫煙所を設置すると決めたが、鈴木直道知事は一時難色を示した経緯もあり、職員喫煙所をどうするのか判断が注目される。

 道職員向け喫煙所は本庁舎出入り口の約100メートル南にあるプレハブ造り平屋。道庁本庁舎や隣接する道庁別館で勤務する喫煙者約900人が利用しているとみられる。今年7月の改正健康増進法の一部施行で行政機関は敷地内禁煙となったが、《1》来庁者が通常立ち入らない《2》区画されている―などの要件を満たす「特定屋外喫煙場所」は設置でき、道職員向け喫煙所もこれに該当する。

 だが、道議会新庁舎の完成後は駐車場となるため撤去せざるをえない。道職員厚生課は中庭など道庁敷地内でほかに特定屋外喫煙場所の要件を満たす場所があるか調べているが、今のところ適当な場所はなく、新設場所として浮上したのが屋上だった。同課は9月に屋上を視察済みで、設置する場合はプレハブなど建物は設けずに野ざらしとするが、安全のため柵は設ける必要性を確認したという。

 道が屋上案に着目したのは、奈良県が8月にまとめた全国の都道府県を対象に行った職員向け喫煙所に関する調査結果だ。これによると36道府県が設置し、このうち17県が屋上だった。道も屋上設置の場合の「説明材料」とするため同様の調査を始めており、近く結果をまとめ、職員労組とも設置の是非を協議する。

 ただ、道が年度内の制定を目指す受動喫煙防止条例の骨子案では幼稚園、小中高校は敷地内完全禁煙とする方針を示しており、道職員や道議の禁煙派には「道職員優遇」への異論も。道議会自民党会派に続き、道が職員向け喫煙所の設置に動けば世論の反発を受けるのも必至で、職員労組も「屋上設置は期限付きとすべきだ」(幹部)と喫煙所の全面継続には慎重だ。

 鈴木知事は11日の記者会見で「(他の都府県の状況について)しっかりと情報収集しながら判断したい」と述べるにとどめた。

 

道議会新庁舎の駐車場予定地にあるプレハブ造り道職員向け喫煙所
道議会新庁舎の駐車場予定地にあるプレハブ造り道職員向け喫煙所