JTの委員入りは国際条約違反? 道の受動喫煙防止の専門部会、ガイドラインに抵触か

2019/11/25 20:49 更新 北海道新聞  https://www.hokkaido-np.co.jp/article/368268


 道の受動喫煙防止条例制定に向けた有識者の専門部会に日本たばこ産業(JT)の担当者が委員として入っているのは、国際条約違反ではないか―。こんな指摘が、25日の道議会保健福祉委員会であった。

 日本も批准する「たばこ規制枠組み条約」のガイドラインは、公衆衛生政策の策定や実施に関し、たばこ産業を「パートナーに加えてはならない」と規定。国や都道府県などの公的機関に適用されるとしている。

 北海道結志会(ゆうしかい)の滝口信喜氏(室蘭市)はJT北海道支社の担当者が専門部会の委員となっていることに「条約からいけば、適格性を欠く」と指摘。道側は「規定を知らなかった。専門的知識を持った立場で参加してもらった」とした上で「委員の任期は本年度末まで。その時期に新たに選定したい」と釈明した。

 専門部会は医師や経済団体担当者ら委員13人で構成。道は年度内の条例制定を目指すが、独自の罰則がなく「強制力がなく、甘い」などと批判が出ている

 一方、道は同委員会で条例案について、屋内を全面禁煙とする飲食店に対し、出入り口の見やすい場所に全面禁煙である表示を義務付ける方針を明らかにした。

 

 

道の喫煙被害部会、JTを除外 「道民の誤解招く」 知事が見直し方針

2019/11/27 01:46 更新  北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/368570

 

 鈴木直道知事は26日の記者会見で、受動喫煙防止条例案を検討する道の専門部会の委員に、日本たばこ産業(JT)の担当者が就いているのは国際条約違反との指摘について「道民に誤解を与えかねない状況がある」と述べ、来年3月末の任期終了で委員から外す方針を明らかにした。

 専門部会は医師ら13人で構成。JT北海道支社の担当者は条例制定に向けた検討のため、今年3月に特別委員として加わった。日本も批准する「たばこ規制枠組み条約」のガイドラインは、公衆衛生政策の策定に関し、たばこ産業を「パートナーに加えてはならない」と規定。25日の道議会保健福祉委員会で「条約からいけば、適格性を欠く」との指摘があった。

 知事は「分煙を推進しているJTに意見を聞く必要性はあるが、道民に参画の趣旨を説明することも必要だ」と話した。

 

受動喫煙防止条例案「罰則なし」確認 道の専門部会

2019/11/12 18:37  北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/364043

 
 道は12日、受動喫煙防止条例の制定に向けた有識者の専門部会(部会長・大西浩文札医大教授)を札幌市内で開き、小中高校の敷地内完全禁煙などを求める条例案に罰則を設けず、努力義務にとどめることを最終的に確認した。

 道が策定した条例の骨子案を巡っては「道独自の規制が必要だ」などと異論が相次いでいた

 専門部会は9~10月に行ったパブリックコメントやがん対策推進委員会での意見などを踏まえ、条例案の内容をあらためて検討。委員から「法律以上の上乗せ規制は必要ない」「罰則を設けた場合に保健所で人員を割くのは厳しい」との指摘があり、罰則を設けないとの結論に至った。

 敷地内完全禁煙を求める施設として、認定こども園や特別支援学校などを明記するほか、受動喫煙防止の施策を推進するための「行動プラン」も盛り込む方向で調整する。

 一方、たばこの火を消した後に壁や衣服に残る物質が引き起こすとされる健康被害「サードハンドスモーク」は条例案に盛り込まないこととした。道は来年2月開会予定の第1回定例道議会で条例を成立させたい考え。