東海道・山陽・九州新幹線、喫煙ルーム廃止

2023年10月17日 17:10 https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1539808.html 

JR東海、JR西日本、JR九州は、東海道・山陽・九州新幹線車内のすべての喫煙ルームを、2024年春をもって廃止する。

喫煙ルームは、東海道新幹線では3号車、10号車、15号車、山陽新幹線では16両編成の3号車、10号車、15号車および8両編成の3号車、7号車、九州新幹線では8両編成の3号車、7号車に設置されていた。これらすべての喫煙ルームを廃止する。廃止の理由は「近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下を踏まえた」としている。

廃止した喫煙ルームには順次、非常用飲料水を配備する。非常用飲料水は、駅以外の場所で長時間停車せざるを得ない状況になった場合等に、乗客に配布する。

またJR西日本は、山陽新幹線8駅の喫煙コーナーを廃止する。廃止対象の駅は、新倉敷駅、新尾道駅、三原駅、東広島駅、新岩国駅、徳山駅、厚狭駅、新下関駅。

 

「喫煙ルーム」新幹線から全面廃止でトレンド入り 「時代の流れ」「待ってました」とさまざまな声

2023年10月17日 17時16分 中日スポーツ https://www.chunichi.co.jp/article/790427 

 JR東海、西日本、九州の3社が17日に東海道新幹線の一部車両にある車内喫煙ルームを来年春に全面廃止すると発表したのを受け、「喫煙ルーム」がトレンド入り。東海道・山陽・九州新幹線の車内でたばこを吸うことができなくなる。ネット上では「時代の流れ」「待ってました」との声が挙がった。

 東海道新幹線では、2007年7月にデビューしたN700系以降、車両に喫煙ルームを設けた。JR東海は近年の健康志向の高まりや喫煙率の低下を踏まえたと説明。廃止後のスペースには、災害等への対応策として非常用飲料水を置く。

 こうした対応に、ネット上では「飛行機は別として、JRでは残してほしかった」とする愛煙家のつぶやきに対し、「禁煙車両なのに喫煙室からたばこの臭いを持ち込むひとが隣に座ると嫌な思いをしていた」「隣席の人が常にたばこくさい状態が回避されそうなのはうれしい」と歓迎する意見が多数を占めた。

 ただ、「新幹線ホームにある喫煙所は整備したほうがよい」「良いと思うけど、全締め出しには違和感がある」と冷静に受け止める意見も。「トイレで隠れて喫煙して火災など、少し怖さもありますね」とマナー違反が増えることを心配する考えも目立った。

廃止される喫煙ルーム(提供:JR東海) 廃止される喫煙ルーム(提供:JR東海)

  東海道・山陽新幹線車内の「喫煙ルーム」は2007年にデビューし、全席禁煙となったN700系車両で従来の喫煙車に代わって設置が始まり、九州新幹線には2011年全線開業の際、一部車両に導入されました。

一方、東北・上越などJR東日本の各新幹線では2007年までに喫煙車が廃止されましたが、喫煙ルームは設置されず、車内での喫煙はできなくなっていました。

 

新幹線「喫煙ルーム廃止」に覚えた違和感。新型車両につけたのに

2023年10月18日 tabiris https://tabiris.com/archives/kitsuenroom/ 

東海道・山陽・九州新幹線車内の喫煙ルームが廃止されます。喫煙率の低下を踏まえた措置ですが、本当にそれだけが理由なのでしょうか。

2024年春に全面廃止

JR東海・JR西日本・JR九州の3社は、東海道・山陽・九州新幹線の車内にある喫煙ルームを2024年春にすべて廃止すると発表しました。

東海道・山陽新新幹線の16両編成車両には、現在、3、10、15号車のデッキに計3箇所の喫煙ルームが設けられています。山陽・九州新幹線の8両編成車両には、3、7号車の2箇所があります。これらの喫煙ルームを、すべて廃止します。

廃止の理由として、JR東海などは「近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下」を踏まえたとしています。

喫煙ルーム廃止後、空いたスペースには非常用の飲料水を配備します。また、JR西日本は、新倉敷駅や新尾道駅など8駅にある喫煙コーナーも廃止します。

2007年に導入

昭和時代までさかのぼれば、新幹線は全席喫煙可でスタートしました。初めて禁煙車が設置されたのは1977年で、「こだま」号の16号車が禁煙車とされました。以後、少しずつ禁煙車の割合が増え続けてきましたが、1990年代までは喫煙車両が主体でした。

状況が大きく変わったのは、2003年に健康増進法が施行されてからです。

同法により、鉄道各社が受動喫煙防止の義務を負うことになり、JR東日本は2007年に新幹線全路線を禁煙化しました。

一方、JR東海・西日本は、同じ2007年に東海道・山陽新幹線に投入したN700系を全席禁煙としつつ、喫煙ルームを設置する選択をしました。以後、同新幹線では全編成に喫煙ルームが設けられてきました。

対航空機競争で

喫煙ルームが設置された背景として、東海道・山陽新幹線の利用者は男性のビジネス客の割合が高く、利用者の喫煙率が高かったことが挙げられます。

国民生活基礎調査によりますと、2007年の喫煙率は男性39.7%、女性12.7%でした。主力の男性ビジネス客の4割が喫煙者である以上、喫煙スペースを廃止するわけにはいかなかったというわけです。

対航空機の競争という事情もありました。東海道・山陽新幹線は、首都圏から対中国・四国地方で航空機と激しく競合しています。早い段階で禁煙化が進んだ航空機に対し、喫煙が可能であることを、新幹線の一つのセールスポイントに据えたわけです。

なぜ、このタイミング

喫煙率はその後も低下の一途をたどり、2022年には男性で25.4%、女性で7.7%にまで減っています。男性客でも喫煙者は4人に1人になってしまい、喫煙ルームの需要は以前より小さくなりました。

とはいえ、いまでも男性客で4分の1の喫煙者はいるわけで、にわかに喫煙ルームを廃止しなければならないほど、利用者が激減しているとは思えません。実際、列車によっては、喫煙ルームに列ができていることすらあります。

特段の法令改正が控えているわけでもなく、なぜ、このタイミングで廃止するのか、違和感も覚えます。

N700Sにつけたのに

振り返ると、2020年にN700Sが導入された際、筆者は、「まだ喫煙ルームをつけるのか」と驚いた記憶があります。

喫煙率の低下をいうならば、いずれ喫煙ルームが廃止されていく方向が時代の流れであることは、すでに明らかでした。にもかかわらず、JR東海は喫煙ルームをつけるという判断をしたわけで、それだけ喫煙者を重要視していたのでしょう。

それからわずか数年での方針転換です。しかも、「新型車両に喫煙スペースを設けない」という判断ではなく、営業中車両の喫煙車を閉鎖して非常用品を置くという、直接的にサービス向上にも増収にもつながらない施策です。

こうした施策を打つとなると、喫煙率の減少以外にも、別の理由があるのではないか、と勘ぐりたくなります。

清掃員の負担軽減策?

考えられるとすれば、清掃の手間を減らす目的でしょうか。喫煙ルームの清掃は客室清掃に比べ手間がかかりますし、清掃員が非喫煙者の場合、喫煙ルームの清掃は好まれません。

人手不足のおり、清掃員の人員確保に懸念があるのかもしれません。であれば、清掃業務量を削減して、非喫煙者のスタッフの負担を軽減することが、喫煙ルーム廃止の理由の一つの可能性もありそうです。

トイレ喫煙の予防策を

喫煙ルームの廃止で懸念されるのは、トイレなどでタバコを吸う人が出てこないか、という点でしょう。残念ながら、飛行機や東北・上越新幹線でも、そうした事例は見受けられます。

東海道・山陽新幹線で喫煙者の比率が高いなら、「トイレ喫煙」の予防策は重要になりそうです。