英国の喫煙率は過去最低水準も、労働党政権は規制強化の姿勢

2024年10月04日 JETRO https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/ae3c8eadbd4ec76a.html

英国国家統計局(ONS)が10月1日に発表した喫煙習慣に関する調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年の英国の18歳以上の成人のうち、喫煙者は約600万人(11.9%)で、2011年の調査開始以来の最低水準となった。

年齢層でみると、喫煙率が最も高かったのは25歳から34歳(14.0%)だった。若者の喫煙低下率が顕著で、18歳から24歳のグループは、2011年の25.7%から2023年には9.8%にまで喫煙者の割合が低下した。

喫煙率は英国全土で地域差があり、イングランドは11.6%、ウェールズは12.6%、スコットランドは13.5%、北アイルランドは13.3%となった。

一方で、電子たばこの使用率は増加傾向にある。ONSによれば、2023年には英国の16歳以上の人口のうち、約510万人(9.8%)が電子たばこを使用していた。その中で、毎日使用すると報告した人の割合は5.9%で2022年の5.2%から増加した。電子たばこの使用は16~24歳で最も多く、15.8%を占めた。

ロンドンに本社を置く大手たばこメーカーのブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は9月17日、煙のない世界を実現するための取り組みを行うと発表した。同社は2035年までに収益の少なくとも50%を無煙製品(加熱式たばこ、電子たばこ、ニコチンパウチなど)から得ることを目指している。今回の発表では、イノベーションおよび科学技術による無煙社会の実現に向けた進捗をまとめた情報サイト(Omni外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表。その中で、喫煙者に対する無煙製品への移行の促進や、ニコチンを含まない原料の開拓などを取り組みとして挙げている。

なお、労働党政権発足後初めて行われた国王演説(2024年7月18日記事参照)では、施政方針として、前政権が提案した2009年1月以降に生まれた人へのたばこの販売を禁止する法案を再導入するとされた。さらに報道によると、政府は喫煙に関連する予防可能な死者数を減らすために、屋外での喫煙に関する規制強化を検討している。詳細はまだ不明だが、パブの庭、屋外レストラン、病院や運動場の外で喫煙が禁止される可能性がある(「BBCニュース」8月29日)。