2019年11月19日火曜日 河北新報 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201911/20191119_13022.html
仙台市議会は改正健康増進法が完全施行される来年4月以降も、市役所議会棟内の喫煙室を存続させる方針を決めた。改正法は議会関連施設を原則「屋内禁煙」と定めつつ、一定の基準を満たした喫煙室の設置は認める。市議会は換気扇の改修工事で基準をクリアするつもりだが、禁煙推進団体は「時代に逆行した対応」と批判している。
喫煙室の存続は8日の各派代表者会議で決まった。主要5会派のうち、共産、社民両党の市議団は廃止を求めたが、自民党、公明党市議団、民主フォーラム仙台は「技術的な課題をクリアできるなら現状維持で構わない」と主張した。
代表者会議の意思決定は全会派一致が慣例。喫煙室は「廃止することで一致が得られなかった」として、設置の継続が決定した。
改正法は室内への気流の速さなどの基準を満たせば、屋内でも喫煙専用室の設置を認める。
市議会事務局によると、現在の議員55人のうち喫煙者は10人前後にとどまる。喫煙室は2015年6月、議会棟3階の一角に約150万円かけて整備した。今回はさらに約10万円を投じ、換気扇の能力を法の基準に合うよう強化する。
全国20政令市のうち半数は議会敷地内を完全禁煙にする。仙台市も受動喫煙防止対策ガイドラインで、全市有施設の屋内禁煙や敷地内禁煙を「目指す姿」とするが、議会棟の現状はこれに逆行している。
鈴木勇治議長は「喫煙室を設置する際も全会派の了承を得た。廃止する場合も全会派の意見一致が必要と判断した。改正法の要件は満たしており、存続させて問題はない」と説明する。
これに対し、NPO法人禁煙みやぎ(宮城県角田市)の山本蒔子理事長は「発想が30年は遅れているとしか言いようがない」と指摘。「喫煙室の存続に税金を使った改修工事が伴うならば、使わない道を選ぶのが時代の流れだ」と話す。
[改正健康増進法]7月に一部施行され、学校、病院、行政機関の庁舎など第1種施設が原則、敷地内禁煙となった。東京五輪・パラリンピック直前の2020年4月に全面施行され、飲食店や宿泊施設など不特定多数が利用する第2種施設も原則、屋内禁煙となる。行政機関と別棟の地方議会庁舎は国会と同様に第2種施設に含まれる。悪質な違反者には罰則が科せられる。