仙台市議会の喫煙室存続 東北で屋内は少数

2019年12月05日木曜日 河北新報 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201912/20191205_11013.html

 仙台市議会が改正健康増進法の完全施行後も議会棟内の喫煙室を存続させる方針とは対照的に、東北地方で屋内に喫煙所を設ける地方議会は極めて少ないことが河北新報社の調べで分かった。主な議会の設置状況を照会した結果、屋内にあるのは仙台のほか宮城、岩手両県議会のみ。禁煙推進団体は大半の議会と同様、屋内の完全禁煙に踏み切るよう求めている。
 調査した東北6県と県庁所在市、宮城県内各市の計25議会の設置状況は表の通り。半数を超える15議会が屋内を禁煙にし、屋外にある喫煙場所を使う。7議会は敷地内を全面禁煙にしている。
 「屋内派」の仙台は議会棟3階の一角が喫煙室。宮城は議会棟4階の一室を喫煙室に充て、1階屋外にも喫煙場所を設ける。岩手は行政棟と議会棟を結ぶ2階渡り廊下に喫煙所がある。
 仙台は健康増進法が完全施行される来年4月以降、改正法の基準に合わせて喫煙室を改修し、存続させる。宮城、岩手はまだ対応を決めていない。岩手は「各会派が対応を協議しているが、意見がまとまらない」(議会事務局)、宮城は「10月に県議選があり、まだ議論できていない」(同)と説明する。
 山形県議会は法改正前の2015年に議会棟内を禁煙にし、「傍聴者も使う」として1階屋外の喫煙所を存続させた。行政庁舎に入る福島県議会は6月まで議員控室で喫煙できたが、7月から庁舎全体が禁煙となり、屋外の特定喫煙場所だけになった。
 石巻市議会は行政部門と同じ建物内にある。市は14年に屋内禁煙とし、駐車場に喫煙所を設置した。議会事務局によると「現在はもっぱら議員が使っている」。
 改正法の一部施行で、灰皿を一掃したのは青森県議会。全会派が議会棟の敷地内禁煙で合意し、愛煙家の議員は「近くの喫煙できる所に行き、一服している」(議会事務局)という。
 塩釜、岩沼、富谷3市議会は7月以降、屋外の特定喫煙場所もない敷地内全面禁煙を実施する。岩沼の議会事務局担当者は「喫煙する議員は3分の1もいない。全面禁煙に反対の声はなく、すんなりと移行した」と経緯を振り返った。

[改正健康増進法]7月に一部施行され、行政庁舎は議会エリアを含め、屋外の特定喫煙場所以外は敷地内禁煙が義務化された。議会庁舎も来年4月以降は屋内禁煙が原則となるが、室内への気流の速さなど一定の基準を満たせば、屋内に喫煙専用室を設けることができる。

◎あまりにも横着
 日本禁煙学会の野上浩志理事の話 東北の多くの議会が屋内禁煙とする中で、他の市町村議会をリードする仙台市議会が喫煙室を存続させたら示しがつかない。基準を満たせば問題ないというのは、あまりに横着な考え方ではないか。他議会と足並みをそろえるべきだ。

 

 

 

 

 

 

反対59%「必要性疑問」 仙台市議会、喫煙室存続方針 SNSでアンケート

2019年12月05日木曜日 河北新報 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201912/20191205_11009.html

 仙台市議会が議会棟内の喫煙室の存続を決めたことに関し、河北新報社は会員制交流サイト(SNS)の無料通信アプリ「LINE」やツイッターを使い、読者らに賛否や意見を尋ねた。喫煙室の存続に「反対」は過半数の59%を占め、「賛成」の35%を大きく上回った。反対派は「税金を投じてまで屋内喫煙所が必要か」と疑問視し、賛成派は「喫煙者の権利も無視できない」と擁護した。

 アンケートは11月20~22日、「読者とともに 特別報道室」のLINEでお友だち登録している人に質問を送り、ツイッターにも質問を投稿。制限時間内に計1688件の回答が寄せられた。内訳は反対988件、賛成598件、その他102件だった。
 泉区の女性パート従業員(46)は「(喫煙する)十数人の議員のための税金投入は、いかがなものか」と指摘。青葉区の女性パート従業員(59)も「喫煙しない人も支払う税金で、なぜ(喫煙室の改修)工事するのか」と異論を唱えた。
 若者も意見を寄せた。太白区の男子大学生(22)は「たばこを購入する議員に票を投じたくない」と嫌悪感を示し、宮城県涌谷町の男子中学生(14)は「たばこを控える世間の流れに逆行している」と回答した。
 反対の声は喫煙者からも上がった。太白区の自営業男性(54)は「市民の喫煙場所がなくなっているのに、議員だけが優遇されるのはおかしい」と強調した。
 「いい大人が議会に来ている時ぐらい、喫煙を我慢できないのか」と批判するのは東松島市の非喫煙者の主婦(56)。太白区の男性会社員(49)も自身は喫煙者とした上で「議員なら公務中は(喫煙を)控えるべきだ」と記した。
 一方、賛成派は喫煙議員の立場をおもんぱかる。若林区の無職男性(69)は元愛煙家。「喫煙者にも権利がある。喫煙者だって税金を払っている」と訴えた。
 泉区の女性会社員(61)は自身は非喫煙ながら「(喫煙室は)赤ちゃんの授乳室が別にあるのと同じではないか。多様に優しい社会を」と寛容性を望んだ。
 喫煙室の存続を逆説的に支持する意見もあった。青葉区の女性会社員(45)は「公園やコンビニ前(で喫煙者が吸うたばこ)の煙で迷惑している。喫煙室の存続で少しでも解消につながるなら必要」と主張した。