仙台市議会、喫煙室廃止へ 批判受け存続方針一転

2020年02月08日土曜日 河北新報 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202002/20200208_11015.html

 仙台市議会の鈴木勇治議長は7日、市役所議会棟の喫煙室を存続させる方針を転換し、改正健康増進法が全面施行される4月以降、廃止する考えを明らかにした。当初の存続方針に対し、愛煙家を含め市民から批判が相次いだほか、同日の市医師会長との意見交換で廃止要請があったことを重く受け止めた。近く各派代表者会議で協議し、正式に決定する。
 鈴木議長と嶋中貴志副議長は議会棟内で、市医師会の永井幸夫会長と受動喫煙をテーマに意見交換した。

 永井会長は「市議会が存続を決め、びっくりした。良識ある議員たちのことだから、既に喫煙室はないと思っていた」と皮肉交じりに指摘。受動喫煙による疾患リスクを強調し「東北の77市議会を調べたが、屋内に喫煙室があるのは仙台だけだ」と廃止を求めた。
 鈴木議長は「永井会長の言う通りだ。いろいろ批判も浴びている。廃止に近づくよう各会派と話をし、合意形成を図りたい」と応じた。
 市議会は昨年11月の代表者会議で存廃を協議。主要5会派のうち共産、社民両党市議団が廃止を求め、自民党、公明党市議団、民主フォーラム仙台が現状維持を主張。「廃止で一致しなかった」と存続を決めた。
 改正法は屋内禁煙が原則だが、一定の基準を満たした屋内喫煙所は認めるため、市議会は約10万円を投じ、喫煙室の換気扇の改修工事を実施する予定だった。
 これに対し、NPO法人禁煙みやぎ(角田市)や日本禁煙学会などが、屋内禁煙を求める要望書を市議会に提出。市民からも存続方針に強い異論が上がった。
 河北新報社が昨年11月、会員制交流サイト(SNS)を通じて実施したアンケートでは、存続に「反対」が59%を占めた。「いい大人が議会に来ている時くらい、喫煙を我慢できないのか」などの厳しい意見が寄せられた。
 市議会内でも昨年12月、議員有志が存続方針の見直しを議長に申し入れていた。

[改正健康増進法]2019年7月に一部施行され、行政庁舎は議会エリアを含め、屋外の特定喫煙場所以外は敷地内禁煙が義務化された。議会庁舎も20年4月以降は屋内禁煙が原則となるが、室内への気流の速さなど一定の基準を満たせば、屋内に喫煙専用室を設けることができる。議会棟3階の喫煙室。当初の存続方針に異論が噴出していた

永井会長(右)と意見交換する鈴木議長(中央)と嶋中副議長