受動喫煙対策「必要」、35知事 全国アンケート

2017年07月23日 15時23分  共同 http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/448808

 

 

■「分煙」自民案支持ゼロ

 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正を、全国の7割を超える35知事が「必要」と考えていることが22日、共同通信の全国知事アンケートで分かった。改正を巡っては、飲食店の原則屋内禁煙を掲げる厚生労働省と、条件を緩和して喫煙、分煙を認める自民党が対立。通常国会への法案提出が先送りされたが、14知事が厚労省案を支持したのに対し、自民党案はゼロだった。秋に想定される臨時国会に向けて実効性のある法案の取りまとめが求められる。 

 アンケートは6月20日~7月4日に実施。全国の知事に受動喫煙対策について尋ね、45知事が答えた。

 独自に受動喫煙防止条例を定めているのは神奈川、兵庫の2県で、条例化を目指しているのは2020年に東京五輪・パラリンピックを控えた東京だけだった。北海道では議員提案による条例化が検討されている。一方、制定予定はないとした10知事のうち、9人が「国が法律で一律に規制すべきだ」と回答した。

 厚労省案を支持する知事が挙げた理由は「飲食店の従業員や利用者の健康を守るため」(高知)など健康を重視した内容が目立ち、「対策の効果を最大限とするためにも原則屋内禁煙にすべきだ」(佐賀)という意見もあった。厚労省、自民党のいずれの案も支持せず「その他」を選んだ知事からは「農業生産者や飲食店業の理解が得られる方策が必要」(岩手)、「業態できめ細かく判断すべきだ」(長野)といった声が寄せられた。

 厚労省と自民党の最大の争点は飲食店規制。厚労省案が面積約30平方メートル以下のバーやスナックなどを除いて原則禁煙とするのに対し、自民党案は「分煙」「喫煙」を店頭に掲げれば面積150平方メートル以下の店には喫煙を認める内容だ。厚労省案に自民党たばこ議員連盟(野田毅会長)が猛反発し、平行線のままだ。独自に条例を制定してはいないが、青森、鳥取、広島などのようにがん対策推進に関する条例の中で受動喫煙防止の推進を掲げる自治体も多い。

 喫煙知事4人

 「喫煙は以前からの習慣」「吸いたいと思ったこと自体ない」-。全国知事アンケートで自身が喫煙者かどうかを尋ねたところ、回答した45人のうち、現在喫煙しているのは4人だった。国内の喫煙率は19・8%(2016年国民生活基礎調査)だが、知事の喫煙率は半分以下の約9%。公の場に出ることが多いからか「吸わない派」が大多数を占めた。

 現在喫煙している知事のうち、大阪府の松井一郎知事は「愛煙家」だが執務中は我慢していると回答。愛媛県の中村時広知事も執務中は吸っていない。たばこが「以前からの習慣」という長崎県の中村法道知事は、執務中は知事室の奥にある部屋で吸う。栃木県の福田富一知事は「年に数本たしなむ程度」という。【共同】

受動喫煙対策「必要」、35知事 全国アンケート