2021.9.3 共同通信 https://www.47news.jp/news/6745190.html
喫煙に関係するさまざまな病気によって、2019年に世界全体で約769万人が死亡したとする推計結果を、国際研究チームが英医学誌ランセットに発表した。日本の死者は約20万人とみられ、世界の国の中で6番目に多かった。200以上の国や地域を対象に3千を超す健康調査データを分析。19年の世界の喫煙者は11億人以上に達し、年間7兆本ものたばこ製品が消費されていた。喫煙率は先進国などで下降傾向にあるが、人口が急増するアフリカなどの発展途上国でたばこを吸う人が増えているのを反映した形だ。
死者が最多だったのは中国で約242万人。世界全体の3割近くを占めた。次いでインドが約101万人、米国が約53万人、ロシアが約29万人、インドネシアが約25万人と続いた。
直接の死亡原因となった病気は、虚血性心疾患や慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、肺がんや脳卒中などが多い。いずれも喫煙によって発症リスクが高まることが知られている。今回の推計には受動喫煙による健康被害は含まれていない。
死者の87%が現在も喫煙中の人で、たばこをやめてから15年以上たった人の割合は6%にとどまることも分かった。禁煙の有効性があらためて示された。
懸念されるのが若い頃にたばこを吸い始めてやめられなくなるケース。たばこ業界は風味付きたばこや電子たばこなど若者を狙ったマーケティング戦略を展開しており、チームは「こうした商品の販売を禁止することで若い世代の喫煙を減らすことができる」と強調。たばこ増税や広告規制などの対策を求めている。