2023年06月06日 共同通信 https://www.47news.jp/news/9344181.html
喫煙は、アルコールを含むほかの薬物依存症の入り口になるといわれてきたが、そこからの離脱にも強く影響している可能性がある。研究チームの横山顕臨床研究部長は「『お酒をやめるんだから、たばこぐらい』と考えず、禁煙に同時に取り組むことの重要性が示された」と話している。
アルコール依存症で同センターを受診する人の喫煙率は男女とも6割超と一般成人を大きく上回り、1日の喫煙本数も多い傾向がある。研究では、2014年にアルコール依存症で同センターに初めて入院し、3カ月の断酒・禁煙プログラムを終えた、喫煙者128人を含む198人が対象。退院後1年間で計9回、調査用紙を郵送し、断酒率や禁煙率を調べた。
その結果、29%の喫煙者が退院1カ月後の禁煙に成功。1年間の断酒成功率は、禁煙に成功した人で59%、もともと吸わない人で45%となり、喫煙を続けた人の30%より高かった。1年間に多量飲酒をしなかった割合も禁煙者61%、非喫煙者60%に対して喫煙を続けた人では41%と差が出た。
統計的な分析では、たばこも同時にやめると1年間の断酒成功の可能性が2・44倍に、多量飲酒しない可能性が2・13倍に高まることになる。
横山さんによると「飲めば吸いたくなり、吸えば飲みたくなる」ことが実験で確認されている。一方で、半年以上の禁煙で、うつや不安、ストレスが著しく改善するとの複数の報告があるという。