毎日新聞
働いている肺がん患者のおよそ3人に1人が、職場で他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙の被害に遭っているとのアンケート結果を、日本肺がん患者連絡会がまとめた。職場での受動喫煙防止は現行法では事業者の努力義務しかなく、禁煙を求めたが実現せずに仕事を辞めた患者もいた。横浜市の世界肺癌(がん)学会議で16日、発表する。
同連絡会に参加する患者団体などを通し、5月末にインターネットで調査。215人から回答を得た。
受動喫煙を「不快」と感じていた患者は92%。「息苦しくなる」「がんが再発・進行するのではないかという恐怖感がある」との声が多かった。受動喫煙に遭う場所は飲食店が87%で最も多いが、家庭も7%あった。
仕事を持つ患者123人のうち39人(32%)は、受動喫煙のある環境で働いていた。2人の子どもがいる40代女性は「治療費のためにパートを始めたが、喫煙のある環境で、1日で辞めざるを得なかった」と回答。「地方は働ける場が少なく、禁煙も徹底されていない。職場を選ぼうとすれば失業状態が長く続いてしまう」との訴えもあった。
また、喫茶店で働いていた患者は、上司と相談したが、売り上げが減るからと禁煙にしてもらえず「狭い空間でまた煙を吸わされるのかと思うと、復職を諦めた」と振り返った。
同連絡会の長谷川一男代表は「この状況を変えるには、屋内喫煙を規制する法整備が必要。日本の実態を世界に発信したい」と話す。