毎日新聞
厚生労働省が検討している、受動喫煙対策強化のための健康増進法の改正で、規制対象外にされる見通しの店舗面積150平方メートル以下の飲食店は、一部自治体の独自調査に基づくと6~9割とみられる。チェーン店などは面積を問わず規制する方向だが、専門家からはより実効性の高い対策を求める声が上がる。
厚労省は昨年、店舗面積30平方メートル以下のバーやスナック以外を原則禁煙(喫煙室設置は可)とする案をまとめたが、自民党の反発で法案提出できなかった。現在、大幅に譲歩し、150平方メートル以下なら店の判断で喫煙を認める案で再調整中。客席部分については100平方メートルと想定している。ただ該当する飲食店の割合に関する国の統計はない。
毎日新聞が自治体の調査を探したところ、過去5年間で少なくとも4都県1政令市がサイトに公開していた。調査対象の店舗数は約900~2万件。回答率は23~35%だった。
受動喫煙防止条例の制定を目指す東京都は、昨年7~8月に調査。店舗150平方メートル以下の一般飲食店は86%で、客席100平方メートル以下もほぼ同じ87%だった。居酒屋などの遊興飲食店では、それぞれ90%、91%と高い。
愛媛、山形、千葉の3県と神戸市は2013~15年に同様の調査をしていた。愛媛県と神戸市の客席100平方メートル未満の飲食店は6~9割。店舗100平方メートルを基準とした山形県は全体で約6割、同様の千葉県はレストランなどで7割弱、居酒屋などで約8割が下回っていた。
「日本対がん協会」の望月友美子参事は「150平方メートルでは規制対象外の店舗の方がはるかに多く問題。従業員の健康も守れない」と指摘。面積による適用除外は営業面への配慮が大きいことから「全面禁煙にした店舗への補助金などインセンティブも考えるべきだ」と訴える。
厚労省は、一定面積以下でもチェーン店や新規出店は規制対象とする方針。年度内に店舗面積を含めた飲食店の受動喫煙対策の実態調査をする構えだ。