世界の禁煙進む、循環器疾患の喫煙リスクに啓発必要=WHO
2018年6月1日 10時21分 毎日 https://mainichi.jp/articles/20180601/reu/00m/030/002000c
[ジュネーブ 31日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は、31日の「世界禁煙デー」に合わせて発表した報告で、世界的に女性を中心に喫煙者数が減少しているものの、2025年までに喫煙率を2010年時点から30%減らすとの目標が達成できる見通しの国は、8カ国中1カ国にとどまっていると明らかにした。
世界では毎年、喫煙によって心臓発作や脳卒中などの循環器疾患を発症して若年で死亡する人が300万人に上り、世界の主要な死因となっている。この中には、受動喫煙による死亡の89万人も含まれている。
WHOは2005年、タバコの宣伝禁止などを盛り込んだたばこ規制枠組み条約(FCTC)を発効させ、これまでに180カ国が批准している。
WHO生活習慣病予防局のダグラス・ベッチャー局長は記者会見で、「世界の喫煙率は、2000年の27%から2016年には20%に低下し、進展は見られる」と指摘。先進国は開発途上国に比べ進展が早いと述べた。
そのうえで、「中低所得国の(進展を)妨げている主因の一つは明らかに、死亡した購買客を穴埋めするためたばこを自由に宣伝し、若者にとって手ごろな価格に維持したいと考えるたばこ業界が国に抵抗している点だ」と述べた。
米州は目標達成が見込まれる唯一の地域だが、米国は例外。たばこ包装の警告文を巡る訴訟や課税の遅れなどが要因だという。
一方、西欧では女性の禁煙が進まず一部諸国が「行き詰まり」状態に陥っている。アフリカの男性の禁煙には遅れが見られ、中東ではむしろ喫煙が増加している。
WHOは、たばこ由来の死亡は世界で毎年700万人超に上り、多くの人は喫煙ががんのリスクを上げることを認識しているが、中国とインドの喫煙者の多くは心臓疾患や脳卒中などのリスクが上昇していることを知らず、啓発活動の強化が緊急に必要としている。
世界の成人喫煙者は11億人、うち死亡者数1位の中国が3億0700万人、2位のインドが1億0600万人、インドネシアが7400万人を占めている。
世界の無煙タバコ使用者は3億6700万人、このうちインドが2億人を占めているという。