毎日新聞
厚生労働省が公表した2015年の都道府県別の平均寿命で、男性1位(81.78歳)、女性4位(87.57歳)となるなど長寿県として注目を集める滋賀。その秘密を解き明かそうと、県などがさまざまなデータを基に分析したところ、飲酒・喫煙などの生活習慣や、所得・労働時間などの生活環境で、長寿になる要因がそろっていることがわかった。
平均寿命だけでなく、健康寿命(13年)でも、滋賀は男性2位(79.47歳)、女性3位(84.03歳)と全国上位に入る。要介護度を指標にした健康寿命で分析。これは日常的に介護を必要とせず、健康で自立して活動し、生活ができる期間を言う。県は平均寿命と健康寿命の差(男性2.31歳、女性3.54歳)を少しでも縮めようと、滋賀医科大、滋賀大、立命館大などとプロジェクトチームを作り、寿命と生活習慣、生活環境の関連を、全国的なデータを基に分析してきた。
その結果によると、平均寿命はがんや心肺血管疾患などにより影響されるが、これらの疾患を患う県民は少なかった。スポーツをする人が多く、喫煙や過度の飲酒をする人が少ないことが関連しているとみられる。
一方、健康寿命は脳血管疾患や認知症、骨折などが、寿命を下げる要因になっている。これに対し、県内の男性はスポーツや学習・自己啓発などを積極的に楽しみ、女性はボランティア活動に熱心なため、認知症の予防などに影響していると分析。住宅のバリアフリー率が高いことも、骨折の予防につながる可能性があるという。
また、このような状況を生み出している生活環境面に着目すると、給与所得が高い(4位)▽労働時間が短い(9位)▽失業者が少ない(2位)▽所得格差が小さい(2位)▽高齢単身者が少ない(1位)--などの要因が「良い影響を及ぼしている」と分析した。
健康に役立つという説もある郷土食のふなずしについては、全国的なデータがないため、分析の対象外だった。担当者は「発酵食品は腸の動きを活発にし健康に良いとは思う。ただ、食べ過ぎると塩分の取りすぎになるので注意も必要」と述べた。
関連資料 滋賀県の平均寿命・健康寿命について