大学の喫煙対策

紫煙との闘い 喫煙者、受験資格なし/吸わない契約書提出/警備員が駅まで巡回/構内全面禁煙を断行

毎日新聞 

 

 受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が成立し、大学を含む学校では今年7月から屋内全面禁煙となる。屋外には喫煙所を設置できるが「受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所」が条件。喫煙を巡っては学生に喫煙しない旨の誓約書まで求める大学がある一方、喫煙所を設ける大学もまだ多く残り、対応が分かれている。法改正を機に全面禁煙を決めた大学もあり、大学の禁煙の取り組みが注目される。

 日本学校保健学会「タバコのない学校」推進プロジェクト代表の家田重晴・中京大教授(学校保健学)による調査では、昨年11月時点で全国の大学の約24%が全キャンパス敷地内全面禁煙を実施しており、10年前の約2倍に増加。女子大や医療系大を中心に広がり、2003年に健康増進法が施行されて以降、取り組みが加速したという。

 喫煙させないために独自の取り組みをする大学もある。名古屋女子大(名古屋市瑞穂区)は同法をきっかけに04年度から入学時、学生に喫煙しない旨の誓約書の提出を求め職員が大学周辺を巡回。構内全面禁煙の金城学院大(同市守山区)は最寄り駅までの通学路も禁煙で、朝夕に警備員が巡回する。

 17年度開校の一宮研伸大(愛知県一宮市)では受験要件に「非喫煙者であること」を掲げる。担当者は「看護を学ぶ大学なので、非喫煙者が望ましい」と説明。名古屋市立大(名古屋市瑞穂区)では06年度、付属病院に禁煙外来を設置したのを機に全キャンパスを全面禁煙にした。

分煙に逆戻りの例も

 一方、一度全面禁煙にしながら分煙に戻した大学も。龍谷大(京都市)などは、キャンパス付近で喫煙し吸い殻を捨てる学生への周辺住民からの苦情で分煙に戻した。構内に喫煙所が2カ所ある名古屋工業大(名古屋市昭和区)も「喫煙所を全てなくすと近隣住民へ迷惑がかかるかも」(担当者)と懸念する。しかし、法改正を受け、自転車置き場に隣接する屋外の喫煙所1カ所はなくす方向で検討しているという。

 法改正を機に構内全面禁煙を決めた大学も。九州大(福岡市)は昨年、今年9月からの全面禁煙を決定。沖縄キリスト教学院大(沖縄県西原町)も今月、「改正の趣旨にのっとり決定した」として4月から全面禁煙にすると発表した。一方、メインキャンパスに屋外約10カ所の喫煙所がある名古屋大(名古屋市千種区)は「駐車場の端など人通りのない場所に設けている」(担当者)として、法改正に合わせた動きはないという。全面禁煙については「望ましいが、学内の喫煙者から反発があり難しい」という。

 家田教授によると、中京大生の喫煙率は1999年の34・3%から17年には3・8%に激減するなど、学生の喫煙率は減少傾向で、「全面禁煙はしやすくなっており、法改正を機に進めるべきだ」と指摘している。