毎日新聞
千葉市受動喫煙防止条例の施行まであと約1年に迫る中、飲食店の禁煙化を後押しする市の補助金の利用が低迷している。1~3月の申請期間中に30件程度を見込んで予算を確保したが、申し込みはわずか1件。まだ準備を始めていない店舗が多くあるとみられ、市の担当者は「これほど少ないとは思わなかった」と嘆いている。
条例によって店舗内の喫煙は原則禁止となるため、市は「飲食店禁煙化補助金」を新たに設け、客席の床面積が100平方メートル以下で禁煙化するなどした店舗を対象に、壁や床の交換や喫煙室との間仕切りの撤去などの費用として上限10万円を補助することにした。18年9月定例会で事業費300万円を予算化し、市政だよりなどで周知した。
補助対象の第1号は千葉市中央区の焼き鳥屋「丸十(まるじゅう)」。カウンター7席、小上がり5席のこぢんまりとした店だ。店主の井高昭さん(65)は1月に補助金を申請し、ヤニのついた壁板などを新調した。喫煙する客は全体の約3割ほどいたというが今は屋内を禁煙化し、「子連れの客もおり、禁煙化への反応はおおむね好意的だと思う。いずれは条例で禁煙化が義務づけられるので、早めに対応しようと考えた」と話す。
当初の期限だった1月23日までに申請したのは井高さんのみ。市は期限を延長したが、その後も問い合わせが数件あっただけという。一方、補助対象となる店舗は市内に約800ある。条例施行まで1年を切れば店側の意識も変わるとみており、市は19年度予算に500件分5000万円を盛り込んだ。
市健康企画課は「周知の方法にも課題があったかもしれない。工夫して多くの店に使ってもらえる補助金にしたい」としている。