都道府県議会、6割以上が喫煙可 議員に配慮? 批判の声も



毎日新聞




 受動喫煙対策を強化した改正健康増進法により、7月から行政機関は屋内全面禁煙となったが、国会や地方議会は規制の対象外だ。毎日新聞が各都道府県議会に取材したところ、自治体庁舎と同様に屋内禁煙としているのは18都府県にとどまり、6割以上の29道府県は建物内での喫煙を認めていた。一般市民も傍聴や面会に訪れる場所だけに「対応が甘い」との批判も出ている。

 同法は公共施設を、屋外も含めた敷地内原則禁煙の「第1種」と、屋内原則禁煙の「第2種」に分類。役所や学校、病院は第1種、飲食店や事業所、議会などは第2種に該当し、第2種施設の規制は来年4月から始まる。

 受動喫煙対策を強化した改正健康増進法により、7月から行政機関は屋内全面禁煙となったが、国会や地方議会は規制の対象外だ。毎日新聞が各都道府県議会に取材したところ、自治体庁舎と同様に屋内禁煙としているのは18都府県にとどまり、6割以上の29道府県は建物内での喫煙を認めていた。一般市民も傍聴や面会に訪れる場所だけに「対応が甘い」との批判も出ている。

 6月下旬、各都道府県議会の事務局に現状を聞くと、宮城、千葉、広島など23道県の議会に屋内喫煙所があった。「議員から要望がある」(北海道)、「会期中に議員が敷地外まで吸いに行くのは難しい」(佐賀県)などの理由からだ。

 愛知や福岡など15府県には議長室や議員控室での喫煙に関する明確なルールがない。京都府のように各会派が禁煙を決めたケースもあるが、議員の判断で喫煙可にできる。神奈川県は控室内に議員専用の喫煙室があり、群馬県も控室に喫煙者用の「集煙機」を置いている。富山県は面会室の1室でたばこが吸える。

 一方、自治体庁舎と同水準の屋内全面禁煙になっているのは、埼玉、大阪、兵庫など18都府県。このうち10都府県は屋外も含め禁煙で、敷地内に自治体が設ける屋外喫煙所もないのは東京、青森、秋田、滋賀の4都県にとどまる。

 全国最多の定数127の東京都議会は、2018年4月から全面禁煙とした。議会は受動喫煙対策に力を入れる小池百合子知事の与党会派「都民ファーストの会」が最大勢力で、17年には子どもがいる私的空間での禁煙を求める条例を議員提案で成立させた。同会派の木村基成議員は「都民に禁煙をお願いするなら、自分たちも襟を正すのが当然」と話す。

 国会は地方議会以上に対応が遅れており、衆参両院の本館や別館に計18カ所の喫煙室があるほか、控室も禁煙と決まっていない。議員会館の各階にも喫煙室が設けられている。

 受動喫煙対策に詳しい大和浩・産業医科大教授は「法改正の検討段階では、議会も原則全面禁煙になるはずだったが、喫煙する議員への配慮からか後退してしまった。議員がたばこを吸っていては市民の受動喫煙防止への理解が広がらない。法律の精神をくみ取り、議会は自主的に禁煙にすべきだ」と訴える。

都道府県議会の受動喫煙対策 

                                                                            青森県議会は7月から全面禁煙とし、議会棟内の喫煙室は閉鎖された=青森市の青森県庁で2019年6月26日10時25分