受動喫煙防止 岡山県が独自条例 小規模飲食店にも「努力義務」

 


毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20200326/k00/00m/040/080000c

 

 受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が4月に全面施行されるのを前に、岡山県議会は同法で喫煙が認められる小規模飲食店にも禁煙場所を設けることを努力義務とした独自の条例案を、全会一致で可決した。県民からは賛否両論の声が上がっているが、伊原木隆太知事は「それぞれの立場の人の理解と努力があって初めて有効になる」と理解を求めている。 岡山県受動喫煙防止条例(2020/3/24公布)

 改正健康増進法は2018年7月に成立。19年7月から学校や児童福祉施設、病院などの「第1種施設」を屋外も含めた敷地内を原則禁煙となり、全面施行となる20年4月からは飲食店やホテル、事務所など「第2種施設」も屋内原則禁煙となる。一方で、個人や中小企業の経営の客室面積100平方メートル以下の飲食店(20年4月1日時点で営業しているもの)については店内喫煙が可能だ。

 これに対し、19日に県議会で可決された条例では、小規模飲食店にも従業員を雇っている場合は屋内の少なくとも一部を禁煙スペースとする努力義務を課し禁煙エリアを設けるための補助制度(上限10万円)も設ける。4月に一部施行、10月にはこの努力義務を含めて全面施行となり、県健康推進課の真鍋紳一郎総括参事は「小さな店でも従業員の方に望まない受動喫煙を防がないといけない」と話す。

 厚生労働省によると、喫煙者の割合は1989年(男性55・3%、女性9・4%)と比べると、2018年(男性29%、女性8・1%)には大きく減少している。それでも、県に厳しい条例を求めてきた県医師会の清水信義副会長は「欧米と比べると、まだまだ日本は喫煙者は多い」と指摘。タバコの有害性を訴えたうえで「吸える場所を狭めればやめる人は増える。少なくとも、煙を吸いたくない人には吸わせない環境にしなければ」と語気を強める。

 パブリックコメントでは、県民の意見は分かれた。「改善指導に従わない施設の公表を含め、罰則規定の必要性を検討を」「子どもが出入りする場所は全て禁煙になってほしい」と厳しい規制を支持する声がある一方、「受動喫煙を望まない従業員は、禁煙の職場を選べば良い」「一方的な偏った施策は控えてほしい」など反対意見も根強くあった。

 東京都や山形県などでも法律より厳しい独自の条例を制定しており、伊原木知事は「きちっと分煙ができる社会づくりにむけた県としての大きな一歩だ」と強調。岡山市内の飲食店で働く県喫茶飲食生活衛生同業組合の宮地和徳理事長(46)は「吸う人も吸わない人も受動喫煙を防止する努力をしなければいけない」と話している。