和歌山最大クラスターの建設現場 70社従事、会議や休憩で密か

2021/6/13 20:50  毎日 https://mainichi.jp/articles/20210613/k00/00m/040/066000c

 新型コロナウイルス感染症で56月、計35人の陽性が判明し、和歌山県内最大のクラスター(感染者集団)となったのが「和歌山城ホール建設関係」だ。和歌山市役所隣の建設現場では約70社の400500人が従事し、うち約200人が県外から通っているという。作業人数がピークになるのはこれからで、再発防止策を取材した。

 新市民会館「和歌山城ホール」は地上5階建て鉄骨鉄筋コンクリート造りで延べ床面積約14300平方メートル。大ホール(954席)、小ホール(395席)を備える文化施設で、工期は1010日までを予定している。

 最初に陽性が判明したのは和歌山市の50代会社員で、521日から症状があり24日に診断を受けた。市保健所によると陽性5人目までは同じ空調設備の会社だったが、その後、内装工事など関連会社の系統や作業の種類を超えて広がり、28日に325人、29日に96人のPCR検査を実施し、疫学調査をした。

 陽性のうち全員が、英国で発見され感染力の強い変異株のウイルスに感染していた。喫煙者は半数程度で、現場で人が接近した可能性があるのは休憩や会議の場面が考えられた。毎朝150人規模の朝礼をした1階展示室(450平方メートル)は、壁一面が外の広場との間を仕切る可動式ガラスを入れる前で、常時開放されていた。休憩スペースは駐車場になる場所で外壁がなく、一角を喫煙所にしていた。

 現場では国土交通省「建設業における感染予防対策ガイドライン(512日改訂)」を基に対策を講じた。朝礼の参加者を職長クラスの最少人数に絞り、人の間隔を空ける喫煙場所を敷地の境界沿いに北側(70メートル)と西側(50メートル)に1列にベンチを置き、人が向かい合わない昼食休憩の時間をずらし、間隔を空けて一方向に顔を向けて腰掛けるベンチを用意――といった内容だ。大型扇風機で排気の流れをつくり、現場出入り口近くには感染拡大防止の啓発パネルも新設。31日から1週間作業を停止した後、67日の作業再開から従事する377人に市はPCR検査を実施し、陽性が出なかったことを確認した。また各企業で、新たに現場に入る人には抗原検査を実施するという。

 市公共建築課は「風通しの良い躯(く)体工事から、屋内の内装、機械設備へと作業内容が移るところで感染防止対策を強化するべきだった」と振り返る。

建設業特有の事情も

 作業工程に合わせて、現場から現場へと人が入れ替わる建設業特有の事情もある。市保健所によると、家族間の感染と考えられていた2人(診断日51517日)が同ホールで従事していたことが後から分かった。一方で他の現場から同ホールに移った初日にPCR検査を受けて陽性となった人がいるなど、陽性35人のうち10人程度は別の場所での感染が疑われるという。市保健所は「陽性でも無症状か軽い風邪程度の人が多かった。検査では防げない。ウイルスが持ち込まれても現場で感染を広げないことに主眼を置いた対策が求められる」としている。 

人が向かい合わないようにし、増設した喫煙場所=和歌山市提供拡大
人が向かい合わないようにし、増設した喫煙場所=和歌山市提供