非公開で設置決定した長崎市議会喫煙室 日本禁煙学会が撤回要望

毎日新聞 2022/7/13 18:51 https://mainichi.jp/articles/20220713/k00/00m/040/170000c 

 建設中の長崎市役所新庁舎5階の市議会フロアに喫煙室を設置することを市議の検討会が非公開会合で決めた問題で、日本禁煙学会は12日、喫煙室を設置しないよう求める要望書を深堀義昭議長と田上富久市長らに送った。「喫煙専用室からは煙が漏れざるを得ない」と指摘し、「職員や市民の健康を受動喫煙の危害から守ってほしい」と訴えている。

 議会事務局などによると、617日に市議で構成する議長の諮問機関「新市庁舎建設に係る議会機能整備検討会」が非公開で開かれ、市議会フロアに喫煙室2カ所を設置することを決めた。受動喫煙防止を目的とした改正健康増進法は行政機関の庁舎での喫煙を禁じているが、市は「議会フロアは他のフロアと機能が異なる」として、喫煙専用室が設置できるとしている。

 これに対し、全国の医療関係者ら約4500人でつくる日本禁煙学会は「非公開の場で決定され、とても驚いている」と指摘。「公費で運営され、公共性の極めて高い議会は、自主的に屋内全面禁煙とするべきだ」と強調した。

 同学会の作田学理事長(杏林大第一内科前主任教授)は取材に、議会フロアへの喫煙室設置について「構造上、ダクトを共通化する可能性があり、その場合は別の部屋にも副流煙が流れて受動喫煙につながる恐れがある」と指摘した。

 学会の調査では、改正健康増進法が全面施行された202041日現在で、全国815の市・区議会の98%に当たる796議会が屋内全面禁煙か、屋外も含む敷地内禁煙としている。政令市議会は20のうち19、長崎市を含む中核市の議会は60のうち54が、屋内全面禁煙か敷地内禁煙としている。

 

日本禁煙学会が長崎市議会フロアへの喫煙室設置“撤回”を要望  「健康を受動喫煙から守るため全面禁煙を」

配信 テレビ長崎 https://news.yahoo.co.jp/articles/80b0c34fe8a1d9f082ebd89439425ccbc4e29e3b 

建設中の長崎市役所 新庁舎の市議会フロアに「喫煙室」を設置するかどうかをめぐり、日本禁煙学会が田上市長などに設置しないよう求める要望書を提出しました

議会事務局などによりますと、長崎市役所 新庁舎5階の市議会フロアへの喫煙室の設置は、617日に開かれた市議会の各会派の議員でつくる、非公開の検討会で決まりました。

これを受け、全国の医療スタッフなど約4700人でつくる「日本禁煙学会」は12日、喫煙室を設置しないよう求める要望書を深堀義昭 議長や田上 市長などに送付しました。

要望書では、非公開の場で設置が決まったことに「とても驚いている」とした上で、「喫煙室からは煙が漏れざるを得ない」「市民の健康を受動喫煙の危害から守るために全面禁煙を」と訴えています。

日本禁煙学会によりますと、屋内に喫煙室がある全国の市・区議会は全体の2.5パーセント=20カ所にとどまっているということです。

長崎市議会 新庁舎フロアに喫煙室 非公開で決定

毎日新聞 2022/7/4 17:24 https://mainichi.jp/articles/20220704/k00/00m/040/174000c 

 建設中の長崎市役所新庁舎(地上19階、地下1階)の5階に整備される市議会フロアに喫煙室2カ所を設置することを、議長の諮問機関である市議の検討会が非公開の会合で決めた。受動喫煙の防止を目的に2018年に成立した改正健康増進法では行政機関の庁舎内での喫煙は禁止されているが、「5階は全体が議会フロアになり、機能が他のフロアと異なる」との考えで行政機関の庁舎ではないとみなし、喫煙室を設置するという。

 議会事務局などによると、617日に各会派の市議で構成する議長の諮問機関「新市庁舎建設に係る議会機能整備検討会」が非公開で開かれ、市議が喫煙室の設置を提案。「喫煙者の権利がある」との意見が出る一方、「換気が十分できるのか」「会派に持ち帰って検討したい」などの声も上がったが、工期などを理由に設置が決まったという。

 市がホームページで公表している議会フロアの図面には喫煙室の記載はない。市が17年以降、市議に示した数種類の図面にも今回の提案まで記載はなかった。新庁舎が197月に着工し、完成(2211月末)まで5カ月となってから、喫煙室の設置が浮上した。

 新庁舎建設を所管する市大型事業推進室の担当者は「最終的には市が設置するかを決めることになるが、技術的な問題などがない限り、市議会の要望に沿う形になるのではないか」と話す。想定されているのは紙巻きたばこ用と電子たばこ用の喫煙室計2カ所で、市は排気設備などの費用見積もりを始めた。

 改正健康増進法は、行政機関の庁舎は敷地内禁煙の「第1種施設」と規定。それ以外の多数の人が利用する施設は「第2種施設」として原則屋内禁煙だが、喫煙専用室を設置できるとしている。現在の市庁舎にはかつて喫煙所があったが、改正法の施行に伴い197月に撤去。別棟となっている現在の議会棟は第2種施設とみなし、203月に喫煙専用室を設けた。

 第1種施設でも「施設の利用者が通常立ち入らない場所」などの要件を満たせば、特定屋外喫煙場所を設置できるが、新庁舎は通路などに囲まれて利用者が立ち入らない場所がないので屋外喫煙場所を設置しない。

 一方、新庁舎5階の議会フロアは「他の行政フロアと区域が分かれている」として喫煙室を設置する。フロアには議場などがあり、設置予定場所のうち1カ所は議会事務局職員の執務室に隣接し、授乳室にも近い。

 市議の一人は「議会フロアも同じ建物内にあり一般市民も来るのに、市民が分からないような非公開の会合で喫煙室設置を決めるのはおかしい。こんなことをすれば、議員特権との批判を受ける」と話した。

長崎市新庁舎5階・議会フロア

長崎市新庁舎5階・議会フロア