県警本部が入る県庁第2庁舎は現在、屋内に1カ所、屋外に2カ所の喫煙所が設置されているが、県警は7月から屋内の喫煙所を撤去する方針だ。同時に、禁煙対策にも力を注ぐ。厚生課ではこれまでも禁煙希望者に禁煙外来を紹介したり、肺年齢測定を行ったりしてきたが、今後は6月に受動喫煙防止セミナーを開催するなど取り組みを拡充する。
「正直なところ、たばこはくさいし、たばこの煙の副流煙も勘弁してほしかった」。たばこを吸わない若手警察官は7月の屋内全面禁煙を歓迎する。
県警厚生課によると、県内の警察職員の喫煙率は35・5%(平成29年度)。県民平均の20・8%を大きく上回るが、愛煙家のベテラン捜査員は「実害があるにせよ、たばこが日常業務のストレス軽減に貢献していたのは事実。杓子定規(しゃくしじょうぎ)な禁煙化では、捜査に悪影響も出かねない」と不満そうな表情をみせる。
5年前に禁煙に成功した警察官は「これでようやく同僚たちが吸うたばこの誘惑から解放される」と安堵(あんど)し、「禁煙したら金もたまるし、健康にもいい。たばこを吸う警察官なんていずれ“絶滅”する」と続けた。
全国の警察組織では岩手や鳥取などで、今月から敷地内の全面禁煙に乗り出している。岩手県警厚生課によると、11日時点で禁煙化による問題は発生しておらず、担当者は「目立った苦情も寄せられていないし、業務面でも特に支障は出ていない」といい、紫煙をくゆらせる刑事の姿はドラマの世界だけになるかもしれない。
日本禁煙学会の作田学理事長は「警察官と消防署員は二大喫煙者集団だ」と指摘した上で「受動喫煙の防止という観点から屋内は当然、(敷地内の屋外も)全て禁煙にするべきだ」と主張する。
ただ、改正健康増進法は一定の要件を満たせば、敷地内でも屋外に喫煙所を設置できるとしており、県警厚生課の担当者は「望まない受動喫煙の根絶は当然だが、喫煙される来庁者の存在にも配慮し、最善の結論を出せるよう議論を続けていく」としている。